2022 Fiscal Year Research-status Report
Curricular space: Developing learners' self-regulated thinking abilities through innovative curriculum design
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20K20516
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
小山 義徳 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90546988)
植阪 友理 東京大学, 高大接続研究開発センター, 准教授 (60610219)
深谷 達史 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70724227)
田中 瑛津子 名古屋大学, 博士課程教育推進機構, 特任助教 (10754947)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | カリキュラム空間 / 思考能力の育成 / 自己調整学習 / カリキュラム・デザイン / カリキュラム・マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の主な目標は、どうすればカリキュラムの中に「カリキュラム空間」を有益な形で組み込むことができるのか、また、思考のためにカリキュラム空間を活用する際の学習者の主体性や能力をどのように適切かつ効果的に育成できるのかを明らかにすることであった。プロジェクト1年目、2年目から継続している目標および上述の目標を達成するために、チームメンバーはオンラインミーティングを重ね、研究を進めてきた。研究成果は以下の通りである:(1) 実際の授業の場で行なった実践的研究では、大学生を対象とした授業において、レポートを執筆する計画を立てる際、執筆計画を図示化することを推奨した。その結果、学生が作成するレポートの論理構造が改善されることが示された。 (2)2つめの実践研究では、大学の講義の試験において自身の解答の内容を明確にするために図を入れることを推奨した結果、問題の性質によっては解答の質を向上させることを明らかにした。(3) 高校生を対象とした質問紙調査では、探究的な学習による自律的、省察的な思考を導く活動が、探究的スキルの獲得や批判的思考態度の育成、教科学力に影響することを明らかにした。 (4) 小・中・高校の教師が教授方略(特にアクティブラーニングの活用)を用いる頻度を決定づける要因を明らかにするために質問紙調査を行なった。具体的には、教師のアクティブラーニングについての認識(例えばその効果、かかるコスト、時間の制約など)を測定するための質問紙を開発し、他の要因との関連性について調査した。 (5) 米国心理学会から出版された本の一つの章を担当し、教師がどうすれば学生の効果的な学習方略の自発的な利用を促進できるかについて説明した。(6) 国際共同研究の実施についての論文を発表した。この論文は、国際共同研究において生じる認知的な困難への対処について、特に若い研究者に向けて執筆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年にも続いていたコロナ禍関連の問題や制限により、多くの計画されていた研究活動を実施することができなかった。 特に、教室に赴いて教師の実践や生徒の行動を観察・測定したり、カリキュラムに思考するため余白部分を確保するための介入を実施したりするなど、教師たちとの共同研究が必要な部分が遂行できなかった。また同様の理由で実験も引き続き実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、3年目(2022年度)に計画した研究の一部を継続し、学生の思考力を効果的に育成するために、カリキュラム空間をどのようにカリキュラムに取り入れると効果的なのかを明らかにする予定である。さらに、4年目には、これまでの研究成果を実際の教育現場で応用・評価し、その成果をより広く発信していくことを目指す。 具体的な計画以下の通り:(1)教員と協力して、普段の授業に少し工夫を加えるだけで、クリティカルシンキングをはじめとする思考力を養うことができる方法を開発する。(2) 大学レベルの授業において、自律性と内省を促す方法を開発するととものその効果を測定することで、学生が準備時間やその他の「自由時間」を有効に活用できるよう支援する方法を検討する。(3) カリキュラム空間に関わる経験を測定する尺度を用いて、高校生に対して継続的調査をおこなう。そして、カリキュラム空間にかかわる探究的な学習の経験が、探究的スキルの獲得や批判的思考態度の育成や教科学力に影響することを明らかにする。(4) 学術誌「Thinking Skills and Creativity」の特集号として、カリキュラム空間の効果的な創出・活用に関する研究に焦点を当てた投稿論文を募集する準備を行う。(5) 大学教員が学生にとって重要な思考力の育成をどのように考えているか、またその育成を促進するためにどのような方法を用いているかについて、数カ国から集めたデータを分析する。(6) 終了した研究の結果をまとめ、国内外の学術誌に発表する。
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Causes of Carryover |
繰り越される資金のほとんどは、学校の教員との共同作業・実験研究参加者への謝礼の支払い、国際共同研究者と協力して開発した手法の複数国間での応用可能性を検討するための費用に充てる予定であったが、コロナ関連の様々な制限により支出できなかった。2023年度には、これらの作業に着手する予定である。
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Research Products
(27 results)