2020 Fiscal Year Research-status Report
先天全盲選手の運動イメージ生成スキルに関する全国調査と運動指導法の開発
Project/Area Number |
20K20518
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
百瀬 容美子 常葉大学, 教育学部, 教授 (20612724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小圷 昭仁 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 准教授 (20545777)
藤木 晶子 北星学園大学短期大学部, 短期大学部, 講師 (00650607)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 先天全盲 / イメージ / 運動学習 / ブラインドサッカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,先天全盲選手の運動イメージ生成スキルに関する全国調査にチャレンジし,その調査結果に基づいた運動イメージ生成指導法を提出することである.この研究は,これまでの晴眼者視点から視覚障害者視点に立った学説へとパラダイムシフトするため,我が国の視覚障害スポーツ指導の考え方を大きく革新し,これまで以上の指導効果が期待できる.極めて稀少な先天全盲児者を対象に全国調査することからも,その挑戦性は高く,得られる知見の価値も高い.得られる知見は,視覚障害研究の基礎資料として,今後の視覚障害児者の認知科学,コーチング科学,バイオメカニクスなど多くの学問領域の発展への波及性も高い.さらに,視覚障害スポーツ指導だけでなく,晴眼スポーツ指導における視覚機能の理解と活用法も再考でき,インクルーシブ教育の発展にも貢献される. 研究期間内には,(1)先天全盲児者の運動学習に寄与する運動イメージ生成スキルの促進要因の解明,(2)視覚障害発症時期別(先天全盲,後天全盲,先天弱視,後天弱視,なし)の比較検討による先天全盲児者の特徴把握,(3)視覚障害選手の実態に沿った運動イメージ生成指導法の提出を実現する. この目的達成のために2020年度は,2021年度の調査開始に向けた準備を終えた.具体的には,(1)調査項目と調査手続きの決定,調査対象者の選定,研究備品の整備である.そして(2)調査手続きの第二に研究組織内の企画により日本イメージ心理学会第21回大会でシンポジウムを開催し,本研究課題に関するリサーチクエスチョンや研究進行に関する内容を報告した.この機会を経て,研究進捗の評価を得ることができた.なお,オンライン開催だったため,旅費等は発生していない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は,当初の予定通り,研究組織内で調査内容の最終決定を終えた.調査内容は,晴眼スポーツ選手を対象にした調査(百瀬,2002)と先天全盲選手を対象とした事例調査(百瀬・伊藤,2018)を援用し,作成し終えた.施行手続きに関しては,実際に視覚障害を有する協力者に予備施行し助言を仰いだため,試行上の問題は生じにくいと想定される.そして,既に内諾を得ている研究対象候補団体と研究計画に関わる最終打ち合わせを実施したことから,2021年度の調査開始に向けた準備が整ったと考えている.また,円滑な調査実施に向けて,機器備品の整備も行った. 他方で,研究組織内の企画により日本イメージ心理学会第21回大会でシンポジウムを開催した.シンポジウムでは,本研究課題の発案に至るまでの研究過程で,先天全盲児者の運動学習に寄与する運動イメージ生成スキル形成の促進要因は,人生上の視覚経験の有無(既存の晴眼者からみた学説)よりむしろ,運動学習経験,イメージの感覚モダリティの活用,認知的柔軟さなのではないかという事例的エピソードを報告した.この報告を経て,これまで見落とされてきた障害物認知や俯瞰イメージ生成の可能性等について議論が展開された.こうしたことから,2021年度の調査開始に向けた準備が整い,研究進展の現実味が確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度からは,最終吟味を終えた調査内容を用いて,研究組織内で連携して全国調査を開始する.並行して,新型コロナの影響を鑑みながら,国内外での成果公表の機会を伺う.ただし,新型コロナの収束如何では,今後の調査実施と研究進捗の評価と公表の機会が制限されることが危惧される.そのため,研究進行が遅れた場合の方策として,研究期間を延長して確実なデータ収集と知見提出することを念頭に置きつつ,社会情勢に連動した検討を継続する.
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Causes of Carryover |
研究開始の準備として,研究代表者はデスクトップパソコン,統計ソフトの購入がなされた.また研究分担者は,調査開始に向けて視覚障害者にも適用できるよう読み上げソフトを購入した.さらに,論文化に向けて英文校閲を受け,研究進捗の公表に向けた取り組みを行った.
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Research Products
(1 results)