2020 Fiscal Year Research-status Report
Innovation of synchrotron radiation moving image by single-shot X-ray ptychography
Project/Area Number |
20K20523
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 幸生 東北大学, 国際放射光イノベーション・スマート研究センター, 教授 (00415217)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 放射光 / コヒーレント回折イメージング / 位相回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、以下の2つの項目を中心に実施した。 ①シングルショットコヒーレント回折イメージング光学系の提案:照明光学系に三角形開口のピンホールを用いることで、一枚の回折強度パターンから試料像の再構成が可能であることを見出した。計算機シミュレーションの結果、試料像の空間分解能は三角形開口のエッジの鋭さと回折強度パターンの高角側の信号対雑音比に影響を受けることが判明した。 ②シングルショットコヒーレント回折イメージング用照明光学系の開発:①で提案した手法を実験的に実証すべく、シングルショットコヒーレント回折イメージング用照明光学系の開発を行った。両面研磨された厚さ20マイクロメートルの白金薄膜に集束イオンビーム加工を施すことによって、一辺10マイクロメートルの正三角形開口を作製した。大型放射光施設SPring-8において、三角形開口の評価を行ったところ、三角形開口のフーリエ変換像に相当する回折強度パターンが観測され、シングルショットコヒーレント回折イメージングに耐えうる精度で作製されていることが分かった。また、フレネルゾーンプレートを用いて三角形開口を二分の一に縮小し、一辺5マイクロメートルのプローブとすることで、SPring-8の実験ハッチ内に装置の収まるカメラ長とした。そして、三角形開口ならびにフレネルゾーンプレートを1パスカル以下に真空排気されたチャンバー内の自動ステージに設置することで、シングルショットコヒーレント回折イメージング用の照明光学系が完成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画を順調に進めることができた。三角形開口を用いたシングルショットコヒーレント回折イメージング光学系を提案し、その実験的実証に向けた照明光学系の開発を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、①テスト試料を用いたシングルショットコヒーレント回折イメージングの原理実証のための放射光実験、②動的試料の観察による動画撮像の原理実証ならびにその応用研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
令和2年度に予定していた大型放射光施設SPring-8での実験を令和3年度に行うことになり、その実験に必要な物品を令和3年度に購入することとした。また、実験のための出張費も令和3年度に繰り越すこととした。令和3年度は令和2年度での未使用額に当初配分額を合わせた額を、シングルショットコヒーレント回折イメージング装置の開発費、試料調製のための消耗品費、大型放射光施設SPring-8への出張旅費、論文投稿料に使用する。
|