2020 Fiscal Year Research-status Report
Extension of the explorable range of muography to ocean with underwater tunnel
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20K20528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 宏幸 東京大学, 地震研究所, 教授 (20503858)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ミュオグラフィ / ミュオン / 海 / 海底 / 潮位 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山やピラミッドなどこれまで、陸上の対象に限られていたミュオグラフィの応用範囲を海域に広げ、様々な海域現象の解明につなげる技術開発を行う事を目的としている。 海底トンネルを長さ1㎞の長大な海底下センサーとすることで、海底下における巨大物体透視技術「ミュオグラフィ」が将来新たにサイエンスターゲットを狙うための技術的課題の検証、解決を行い、海底トンネルを使用した海底ミュオグラフィの方法論を確立する。これまで難しかった海底岩盤の正確な絶対密度測定、海面昇降現象の面的なイメージング等が可能となり、海域のリアルタイムイメージング等へとつなぐ新たな技術開発を実施する。海底下でミュオグラフィが実施可能になれば、これまで難しかった海底岩盤の正確な絶対密度測定、海面昇降現象の面的なイメージング等が可能となり、将来的には地震発生場のより進んだ理解、海底資源のイメージング、津波や高潮などによる潮位変動、巨大海底砂丘の移動や河川、氷河等からの流入などによる海底への堆積過程などをはじめとした海水面変動のリアルタイムイメージング等へとつなげることが可能となりミュオグラフィに新たな価値を付加できる。今年度は当初計画している全長1kmの検出器の10%、即ち100mを配備することで、装置の評価を行った。その結果、天文潮位の測定に成功した。潮汐による周期的な海面昇降現象を活用した波高分布リアルタイムイメージング法の開発につなげていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展している。火山やピラミッドなどこれまで、陸上の対象に限られていたミュオグラフィの応用範囲を海域に広げ、様々な海域現象の解明につなげる技術開発を行う事を目的として、 海底トンネルを海底下ミュオグラフィセンサーとすることで、海底下における巨大物体透視技術「ミュオグラフィ」が将来新たにサイエンスターゲットを狙うための技術的課題の検証、解決を行い、海底トンネルを使用した海底ミュオグラフィの方法論を確立する。これまで難しかった海底岩盤の正確な絶対密度測定、海面昇降現象の面的なイメージング等を可能とする新たな技術開発を実施するが、この一部を以下の項目を開発することで達成した。 ・当初計画している全長1kmの検出器の10%、即ち100mを配備することで、装置の評価を行った。その結果、天文潮位の測定に成功したことで、潮汐による周期的な海面昇降現象を活用した波高分布リアルタイムイメージング法の開発につなげるために必要なデータを取得可能である事が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画している全長1kmの検出器の10%、即ち100mを配備することで、装置の評価を行った。その結果、天文潮位の測定に成功したことで、潮汐による周期的な海面昇降現象を活用した波高分布リアルタイムイメージング法の開発につなげるために必要なデータを取得可能である事が確認された。引き続き以下の開発項目を実施することで海底ミュオグラフィの方法論を確立すると同時に長大検出器の長期運用における技術的課題の検証、解決を行う。①正確な海底岩盤密度分布決定方法の開発、②潮汐による周期的な海面昇降現象を活用した波高分布リアルタイムイメージング法の開発。これまでの地表ミュオグラフィの海域への直接的拡張ともいえる①海底岩盤の絶対密度分布測定に加えて、②海水の動きといった新たな対象も観測ターゲットに加え、これら2テーマを対象とした以下の測定原理を本計画で実証する。①海水をリファレンスとすることで、地表ミュオグラフィにおける問題を最小限に抑えること。地下深部のトンネル内部における低ノイズ空間は更なる精度向上をもたらすこと。②ミュオグラフィはミュオン経路に沿った物体の「厚み×密度」を測定するので、密度の時間変化が無ければ、ミュオグラフィ画像の時間変化は海水の厚みの時間変化と等価である。満潮、干潮による海水準の日変動は1.0~1.5m程度である。地下岩盤密度や海水密度の日変動は無視することにより、潮汐による水位変化を利用して海水準変動のリアルタイムモニタリングの精度と時間分解能の検証を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は感染症の蔓延により、閉鎖空間での作業が必要となる当初計画を縮小させる必要が有ったが、今年度中に閉鎖空間での作業量を大きく低減させる方法を構築したため、次年度の計画実施には問題が無い。次年度は今年度の当初計画と次年度の当初計画をあわせた計画の実施を予定している。
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