2020 Fiscal Year Research-status Report
Plasmonic semiconductor sensor for visualization of virus distribution
Project/Area Number |
20K20533
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
菅 哲朗 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30504815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧 真清 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70362952)
岩瀬 英治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70436559)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | SPRセンサ / ウイルス / ショットキー障壁 / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は環境中の不可視なウイルスをリアルタイム検出する技術の実現を目的とする。このために、ラベルフリーで化学量計測が可能なプラズモニック半導体センサの研究を進め、ウイルスを高感度かつ選択的に検出する方法を実現する。センサを小型可搬にしてウイルスをその場認識可能とし、安全な生活環境の実現に貢献する技術を提供する。
2020年度は、プラズモニック半導体センサの研究を進める上で重要となる、回折格子による効率的な背面照射による表面プラズモン励起構造の実現に取り組んだ。これは、表面プラズモンセンサにおいて、試料を通さずに励起光を導入する方法であり、試料との不必要な光の干渉や試料による光吸収を防ぎ、安定的に計測を実施する上で必要な機能である。先行研究の調査により、背面からの効率的な表面プラズモン共鳴励起には、センサ表面の金膜面がフラットであることが重要であることが判明した。そこで、回折格子を基板内部に埋め込んだ構造を形成し、要求機能が達成できるかを検討した。具体的にはSU-8を材料としたポリマー基板内部に、シリコン製のナノ回折格子を埋め込む構造を試作した。この試作のために、Top層700 nm、ハンドル層厚さ725 umのn型SOIウエハを用いた。Top層側にナノリソグラフィ―により高さ300nm、ピッチ1 um程度の回折格子作った後に、回折格子構造側のTop層表面をSU-8で被覆した。そして、ウェハを上下反転させHandle層とBox層をエッチングで完全に除去した構造である。これにより、結果的にセンサ上面が空気の屈折率条件(n = 1)ではあるものの、回折格子の微細なピッチ変化に対して、理論と整合する共鳴が得られた。現在は、水近傍の屈折率を対象として、共鳴構造の探索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、表面プラズモン共鳴センサの予備的な一次試作が完了しており、おおむね順調に進んでいる。ただし、科研費申請時には見込んでいなかったコロナウイルスの流行が発生しており、共同研究者との連携に一部遅れがみられている。2020年度中は、コロナ状況下での研究実施だったため、共同研究者たちとの密接な連携が難しく、個別に研究を進めることになった。2021年度からは、オンラインミーティングを隔月開催するなど、運営体制をコロナにフィットするように改めたので、引き続き順調な研究の実施を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、コロナ禍のもとで、共同研究者間での実際の対面による打ち合わせや連携などは難しくなったが、研究開始半年を経て、ミーティングの方法なども成熟してきた。2021年度は隔月のミーティングを開催し、推進の加速をはかる。 一方で、研究課題として、コロナウイルスなどの応用を見据えると、空気中からどのようにウイルスをセンサ面に捕集するかの基礎技術の確立も重要であるとの認識が進んできた。そこで、チーム内部で討議し、研究課題の中にウイルス捕集方法の確立などを盛り込むことを計画している。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの流行により、当初想定していた外部実験設備利用などの利用や、想定よりも試薬の購入などを抑えたためである。2021年度はコロナ流行下での実験活動実施のノウハウが蓄積されてきたので、試作や実験などを活発に進める予定である。
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Research Products
(4 results)