2022 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールの吸着現象に着目した神経伝達物質の超高感度電気化学的検出
Project/Area Number |
20K20534
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 雄高 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (10324451)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 電気化学センサー / 神経伝達物質 / 表面修飾 / リザバーコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は機械学習を用いた多次元同時選択検出技術の構築を実現すべく、センサ内において機械学習の機能を実装するためのインセンサ・リザバーコンピューティングの可能性を探索した。柔軟性を持つプラスチックフィルム上にカーボンナノチューブ薄膜マイクロアレイ型センサを作製し、それを用いて、電気化学的な物理リザバーを構築した。これを用いて、3電極系の電気化学セルを構築し、電気化学的な物理リザバーコンピューティングを実証した。 本研究においては、リザバーコンピューティングに期待される時系列予測タスクの予測精度の向上に注力した。具体的には、カーボンナノチューブ表面を多種の条件で修飾し、リザバーの高次元化から進めた。各カーボンナノチューブ電極の表面を電気化学的に修飾し、その修飾条件を変化させることにより、電子交換速度に変化を持たせ、これによりNARMA関数に対する時系列データ予測タスクの精度の向上を実現した。さらに、相関関数を用いた物理リザバーの次元性の評価手法を新たに提案し、表面修飾により次元性が向上していることを確認した。 加えて、糖尿病患者の血糖値の変動について、物理リザバーを用いて初めて実証した。食事等による急激な血糖値の変化などは単なる時系列データから予測することは難しく、食事のタイミングなど、マルチモーダルな入力が必要であることなど、課題も明らかにした。 本研究では、神経伝達物質の高感度・選択的検出を狙ったカーボンナノチューブ電気化学センサ技術について探索的な研究を推進し、研究を進め、ドーパミンと選択的に結合する分子を用いた選択的検出技術、カーボンナノチューブ表面の修飾による高感度化技術に加え、インセンサ機械学習の実現のための電気化学的な物理リザバーの構築とその高精度化技術などの独創的成果を得ることができた。
|
Research Products
(18 results)