2020 Fiscal Year Research-status Report
生理環境下での細胞測定に適した近接場テラヘルツ顕微鏡の開発とその応用
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20K20536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芹田 和則 大阪大学, レーザー科学研究所, 特任助教 (00748014)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 乳癌 / 非浸潤性乳管癌 / 非線形光学結晶 / テラヘルツイメージング / 非線形光学結晶 / 光整流 / 浸潤性乳管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトタイプとなる近接場テラヘルツ顕微鏡を構築し、画像取得と画像処理のプロトコルおよび局所テラヘルツ分光のための測定プロトコルを整備した。顕微鏡の空間分解能は1細胞サイズとなる~10umを達成している。構築した顕微鏡を利用して、生体組織のテラヘルツ分光イメージングを行い、顕微鏡の性能について評価を行った。サンプルとしてパラフィン包埋ヒト乳房組織を取り上げ、組織全体の網羅的なテラヘルツ分光イメージングを行うことで、0.5ミリ未満の小さな早期乳癌である非浸潤性乳管癌(DCIS)の非染色テラヘルツイメージングに成功した。また、このDCIS近傍での局所テラヘルツ分光測定から、早期乳癌であるDCIS、進行した癌とされる浸潤性乳管癌(IDC)、正常組織を定量的に識別できる可能性を示唆した。従来の遠方場テラヘルツ計測と比較して100倍以上感度が向上しており、生体組織に対してこれまでにないテラヘルツ分光・イメージング評価が行えることを示すことができた。また、病理学的にも興味深い結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プローブレス且つ高空間分解能なテラヘルツ顕微鏡を構築し、生理環境下でのテラヘルツ分光イメージング測定に向けて準備的なデータが着実に出始めている。わずか0.5ミリ未満の小さな早期乳癌をテラヘルツイメージングで鮮明にとらえることができたこと、および周辺組織との精度の高い識別ができたことは病理学的にも大変興味深い成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
顕微鏡の空間分解能、感度については、今後、より高出力なレーザー光源を利用した系に移行することでさらなる向上が期待できる。これにより本格的な生理環境下でのテラヘルツ計測が可能な顕微鏡へと展開を図る。 乳癌のテラヘルツ評価については、早期乳癌の中にも様々な種類が存在するため、性能を向上させた顕微鏡を利用して、それらの詳細な評価(癌のgradingなど)が行えないかについて検討する。これは将来的な癌のオンサイト診断の可能性にも関連してくる。また、その他の生体組織や癌細胞株などを取り上げ、本顕微鏡の有用性を検討していく。
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Causes of Carryover |
顕微鏡に係る特注物品の購入を検討していたが新型コロナウイルス感染拡大の影響で納期が遅れることが判明した。また、研究員1名を2~3ヶ月で雇用する予定であったが同様の理由で適当な人材が確保できなかった。これらを次年度分として執行し顕微鏡構築と研究員確保に努め、翌年度分は令和2年度「補助事業期間中の研究実施計画」に記載した内容に係る経費として執行する。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Near-Field Terahertz Imaging of Ductal Carcinoma In Situ (DCIS) of the Breast2020
Author(s)
K. Okada, K. Serita, Z. Zang, H. Murakami, I. Kawayama, Q. Cassar, G. MacGrogan, J. Guillet, P. Mounaix, and M. Tonouchi
Organizer
The 81th Autumn Meeting, JSAP-OSA Joint Symposia 2020
Int'l Joint Research
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