2023 Fiscal Year Research-status Report
生理環境下での細胞測定に適した近接場テラヘルツ顕微鏡の開発とその応用
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20K20536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芹田 和則 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (00748014)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | テラへルツ / テラへルツイメージング / 細胞 / 非線形光学 / 機械学習 / SPoTS顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラへルツバイオ顕微鏡(SPoTS顕微鏡)を利用して細胞や微小な生体サンプルの計測とそれらの評価法の開発を行った。 本顕微鏡は、非線形光学結晶に波長1.5μm帯のフェムト秒レーザーを集光させ、2次の非線形効果(光整流)によりテラへルツ波を発生させる。この時、固浸レンズなどの高NAレンズを利用してレーザー集光を駆使することで微小且つ高密度なテラへルツ波点光源を生成できる。サンプルを結晶表面にセットすることでこのテラへルツ光源と近接相互作用し、2μmの空間分解能で分光イメージングができる。 細胞計測においては、顕微鏡の反射モードを利用することで、液中でも細胞の分光やイメージングが高感度でできることが分かった。また透過測定においても滴下量(液厚)を薄くすれば高感度で計測できることも分かった。テラへルツ波による細胞の直接計測は、テラへルツ波の水への強い吸収と空間分解能により難しいとされてきたが、本顕微鏡技術により初めて開拓することができたと考えている。この反射THzデータから細胞個々の複素光学定数を導出するプロトコルを構築した。取得したデータについて細胞個々の特性が現れており、現在も議論を行っている。微小な生体サンプルの計測では、前年度に引き続き、テラへルツトモグラフィーと機械学習などを利用した3次元画像復元プロトコルの構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液中での細胞のテラへルツ分光・イメージングに成功し、さらにテラへルツ周波数領域における細胞レベルでの複素光学定数の算出ができたため、専門家らとも議論を着実に進めることができており、順調に進展していると考えている。 画像処理法についてもそのベースを構築することができており、既存の技術とも組み合わせて柔軟にデータ処理を行っていく体制が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータと既存技術によるデータとの比較を行い、テラへルツ領域における細胞個々の特性について議論を深める。また、本顕微鏡を利用して多種多様な細胞についても可能な限り計測し、議論を行いながら、テラへルツ領域における細胞の振る舞いについて開拓していく。 並行して画像処理法についても既存技術とを組み合わせながら精度の高い処理が行えるよう開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴い、補助事業期間延長を申請したため。 顕微鏡本体の改良や維持、周辺技術の整備に係る物品費、計測に係る人件費として使用する予定である。
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