2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on postcritical homo-transition mechanism for zero hysteresis and innovation of multiferroic shape-change materials
Project/Area Number |
20K20544
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
細田 秀樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10251620)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 臨界状態 / 相変移 / ホモ遷移挙動 / 磁性形状記憶合金 / NiFeCoGa / 単結晶 / 形状記憶合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ni-Fe-Ga(Co)強磁性形状記憶合金の単結晶を用い,引張試験および超音波測定により弾性挙動を広い温度範囲で研究した.これにより,本合金の母相オーステナイト相とマルテンサイト相が強く非線形の弾性応答を示すことを明らかにした.ベイン経路に沿ったひずみと温度との関係から,この非線形性は相転移近傍で起こるといえる.そして,この非線形の応力-ひずみデータを利用し,4次までのランダウ理論で解析した.その結果,実験値を使わずに得られたエネルギーマップは,応力-ひずみデータの外挿によって示される臨界点の存在や,変態ひずみの値と温度依存性など,本合金のいくつかの重要な特徴を現実的に捉えていることが示された.さらに,弾性定数の温度変化と非線形性の度合いを評価できた.また,ランダウエネルギーにおけるパラメータの温度変化を表現するために,線形および二次近似を用い,エネルギーのマップを明示できた.これらに加え,このアプローチを3次元に拡張することで,個々の相の非線形弾性挙動からエネルギーマップを決定できる可能性を示すことができた. NiMnGa合金については,画期的センサー・アクチュエータの開発のために,49.9Ni-28.5Mn-21.6Ga合金単結晶状粒子を用い,体積率を20vol%として,シリコーンやエポキシと複合化した複合材料も作製した.その結果,この場合には5Mおよび7Mのマルテンサイト相が混在した.マイクロCTを用いて磁場誘起歪を計測した結果,これまでの研究報告として最大となる4.0%もの巨大磁歪を観測した.これにより,ポストクリティカル状態のみならず,複数のマルテンサイト相を共存させることでも動作特性を改善できる可能性を示すことができた. これらに加え,前年度に引き続き,Ti-Cr,Ti-Au,Ti-Mo系形状記憶合金やAuCuAl形状記憶合金などの非磁性合金でも,相変態の経路や変形挙動に関する研究を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際共同研究として進めている理論・実験的研究で想定以上の進捗があり,論文がActa Materialliaに掲載された(https://doi.org/10.1016/j.actamat.2021.117530).このため,全体の平均としては想定以上に進展している.新型コロナの影響は今だあり,また,集束イオンビーム加工機FIBの使用時間が限られているため,微小材料試験の状況は計画よりやや遅れているが,これについては,新年度初頭に新たに一台のFIBを追加導入する予定で進めており,このFIBも本研究に使用できることで,新年度の研究進展は十分に進むと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
現状,ほぼ予定通りおよび予定を上回る研究が遂行できており,今後も予定通りに研究を進める方針である.R3年度にデジタル画像相関法(DIC:digital image correlation)を運営交付金にて導入したので,ポストクリティカル変形挙動について,DICも用いて研究を進めることで,更なる研究の進捗が図れると期待している.DICでは,局所的な変形と歪みが計測できるので,本ポストクリティカル挙動が,試験片全体にわたり起こるのか,部分的に起こるのかを明快に評価できると期待している.また,R3年度の繰越にも使用し,微小機械試験の実験上の律速段階になっている集束イオンビーム加工機(FIB)を新年度に購入して進めることを計画しており,さらなる実験的研究進展が期待できる.
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Causes of Carryover |
当初は国内学会および国際会議で現地に行き発表する計画であったが,会議が全てオンラインになった.および,国際共同研究の打ち合わせなども全てオンラインになったため,旅費の使用がなかった.これにより未使用額が生じた.また,実験的研究では,集束イオンビーム加工機FIBの使用時間が,同装置の使用人数の増加により,計画よりも取れなくなった.このため,次年度に新規にFIBを購入する計画とし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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Research Products
(33 results)