2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding of apoptosis of cells on nanostructured substrates utilizing all-atomic analyses of integrin signal
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20K20545
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬渕 守 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (00358061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袴田 昌高 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30462849)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ナノポーラス / 培養基板 / モンテカルロシミュレーション / 分子動力学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、分子動力学 (MD) 計算と遺伝子解析を連携した新たな研究システムを構築し、金属基板表面のナノ構造がそこに接着する細胞の分化や増殖、アポトーシス(自発死)を制御する遺伝子に影響を及ぼすまでの、シグナル伝達経路の全貌を明らかにすることである。2022年度は以下の項目について、実験および計算を行った。 実験:ヒト線維芽細胞の骨細胞および脂肪細胞への分化を調べた。ナノポーラス金 (NPG) 培養基板は、骨細胞分化および脂肪細胞分化のいずれにもほとんど影響を及ぼさないことがわかった。過去の研究で、細胞の分化が表面形状に影響されることが示されているが、本研究の結果は、過去の研究結果とは相反するものである。基材の剛性が数百kPa以下のオーダーであれば基板の剛性率に依存し、剛性の高い基材は骨形成分化を促進するが、NPGの剛性率はGPaのオーダーであり、骨形成分化の差を誘発するものではなかった。 計算:モンテカルロシミュレーションの結果と実験事実(FA密度とサイズが孔径の減少とともに減少)とを総合すると、NPGによって生じた細胞外シグナルが、インテグリンのクラスタリングに関連するタリンとキンドリンの特定の細胞内タンパク質に伝達されていることが示唆された。 研究期間全体を通じ、細胞接着におけるインテグリンの役割の多様性の一部が、実験(細胞培養・遺伝子解析)・計算(MD・モンテカルロシミュレーション)の組み合わせにより明らかにされた。また、研究結果を活かした人工高細胞密度組織の創成なども行った。
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