2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on 0.1V electronics using proton in solids
Project/Area Number |
20K20553
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢嶋 赳彬 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (10644346)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | プロトン / 固体電気化学 / 律速過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトンを用いて0.1V動作するデバイスの構築を目指している。昨年度までの研究で、WO3を用いたプロトン2端子素子において、電圧によってプロトンの動きを制御し、抵抗値を数桁変化できることを明らかにした。今年度はプロトン制御のメカニズム解明と、プロトンの動きを0.1Vで制御することを目的として研究を行った。 まずプロトン制御のメカニズムを明らかにするため、上下電極の材料を変えて実験を行った。上部電極は、水素触媒活性があるPtとPd電極に対して抵抗変調効果が得られたが、それ以外の金属材料では変調効果は得られなかった。驚くべきことに株電極についても水素触媒活性があるPt電極でなければ変調効果が得られなかった。このことから、本2端子デバイスは、上下電極間の電気化学反応であることが明らかになった。 また印可電圧依存性を調べたところ、0.1Vの電圧印可に対してもプロトンが動くことを確認した。しかし0.1Vに対する電導度の上昇速度は非常に遅く、数分の時間スケールであることが分かった。一方で、逆方向の電圧印可に対する電導度の減少速度は速く、数秒の時間スケールで起こることが分かった。つまり本2端子デバイスでは、プロトンの整流性が見られることが分かった。この整流性の起源は、素子内部のプロトンエネルギーに非対称な障壁が孫座右するためだと考え、測定雰囲気中の水素圧を変化させてプロトンの化学エネルギー依存性を調べたところ、きれいな指数関数的な特性が得られ、確かに非対称な障壁が存在することが分かった。つまりこの障壁高さを制御することができれば、0.1Vの電圧であっても、数秒程度の時間スケールで動作する素子が作成できることが分かった。
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