2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K20560
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立間 徹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90242247)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | プラズモン共鳴 / キラリティー / 化学センサ / 金属ナノ粒子 / 磁性体ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プラズモン共鳴を示すキラルナノ構造を作製し、アミノ酸などのキラル分子について、そのキラリティーを区別してセンシングできるセンサ(エナンチオ選択性センサ)の開発を目的としている。 2023年度においては、2022年度までに開発した、円偏光下で銀ナノ粒子をキラルな粒子に成長させる手法を用い、キラリティーを持つ銀ナノ粒子のアレイを作製した。このナノ粒子アレイは、粒子を高くするほど、キラリティーが強くなることが明らかとなった。こうした粒子は、センシングに適したサイトが露出しており、検出対象となる分子がアクセスしやすい点が特徴である。 こうしたキラル化においては、金属ナノ構造の周囲に生じる振動電場(近接場光)のキラルな分布が重要な役割を果たす。金属ナノキューブなどに円偏光を照射した時に生じるキラルな電場分布は、次数の異なるプラズモン共鳴モードの干渉により生じることを電磁気シミュレーションの手法により示した。 一方で、プラズモニックセンシングに使うことのできるITOナノ粒子を近赤外レーザーアブレーションにより作製する手法も開発した。従来の一般的な化学合成法では、ナノ粒子が保護剤により覆われるため、検出対象となる分子がアクセスしにくい。レーザーアブレーション法により作製したITOナノ粒子はアクセスしやすいため、屈折率センシングに対する感度が、化学合成したものよりも2倍程度高いことが明らかとなった。磁気円偏光二色性(MCD)測定法を用いることにより、より精度の高い分析が可能になることもわかった。
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