2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K20591
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
袖岡 幹子 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (60192142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
どど 孝介 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (20415243)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | アフィニティー精製 / タグ / 修飾ペプチド / 遷移金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフィニティーラベリングによる生物活性分子の標的タンパク質や結合部位の決定は、生物活性分子にタグを導入し、修飾されたタンパク質やそれを酵素消化して得られるペプチドを検出・同定することによって行われる。しかし多量の非修飾ペプチドの共存下で目的とする修飾ペプチドを同定することは容易ではない場合も多く、同定の効率化のためには、タグを導入した生物活性分子でラベルされたペプチドを効率的に精製することが必要となる。一般的にはアルキンタグを標的化合物に導入し、クリック反応でアルキンにビオチンを導入したのちに精製を行うが、クリック反応後の精製操作でサンプルをロスしたり、導入したビオチンがペプチドを不溶化させたり、イオン化効率を悪くさせたりすることなどが問題としてあげられる。そこで本研究では遷移金属化学を利用することで、クリック反応などを用いずに直接タグ分子を精製する技術を開発する。 本年度は昨年度見出したタグと遷移金属錯体の組み合わせに関して、その捕捉条件をより詳細に検討した。その結果、モデル実験ではあるが、タグを導入したペプチドを様々なペプチドが共存する中から捕捉・濃縮できる条件を確立することに成功した。さらに標的既知の生物活性化合物にタグを導入したものを合成し、これを用いて細胞内で標的蛋白質を標識するモデル実験系の構築を行った。タグが導入された化合物によりタンパク質が確かに標識されていることを確認し、さらに様々な条件でペプチド断片の調製と質量分析装置による解析を行った。その結果、細胞内でタグ導入化合物により修飾されたペプチド断片を検出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度見出したタグおよび遷移金属錯体の組み合わせを用いて、実際にペプチド混合物からタグが導入されたペプチドを捕捉・濃縮することに成功した。さらに最終目標である細胞内で修飾されたペプチド断片を濃縮する実験に関しても、基本となるモデル実験系を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度確立したモデル実験系を用いて、細胞からタグ導入ペプチドを捕捉・濃縮する条件の確立を目指す。条件を確立することに成功したら、標的未知の化合物にも適用し、その実用性を検証する。
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Causes of Carryover |
コロナ対応に伴って実験量が不足しているため、来年度は人員を増員することで十分な条件検討を行い、研究を加速させることを計画する。
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Research Products
(1 results)