2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K20601
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00272477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50197159)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 近赤外分光法 / ヘモグロビン / シトクロム / 脳 / 代謝 / 乳児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳における血流・代謝・神経活動の連関の発達過程を明らかにするため、多波長光を用いた近赤外分光法による生体イメージングと解析手法の開拓を行うことを目的としている。本年度は、脳血液中のヘモグロビンおよび脳組織中のシトクロムの酸素化状態の時間変化を同時計測するため、多波長近赤外光源を用いた装置の試作を行い、検証を進めた。3種類の分子を分光法により計測するために、連続波長による分光法に比べて正確さを失わない現実的な光源の数として、784、801、811、826、839、846、880、895nm の8波長のCWレーザー光源を用いた。検出器としてはAPD(アバランシェホトダイオード)を用い、4チャンネルでの測定を可能とした。脈波の10倍以上でのサンプリング速度を満たす、81.92msでのサンプリングを行った。送信側の8入力1出力の生体装着光ファイバー1本に対して、受信側の1入力1 出力の生体装着光ファイバーを4本、直線状に1、2、3、4cmの距離に配置したセンサーパッドを作成した。成人2名において、前頭部にセンサーパッドを装着し、閉眼安静状態で、10分間の計測を実施した。検出された8波長の光量変化と、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)、シトクロムcオキシダーゼの酸化型と還元型の差分(ox-redCCO)の3種類の分子の濃度変化の間には、ランベルト-ベール式が成り立つと仮定した。それぞれの分子吸光度曲線については文献値を参照し、ランベルトーベール式より、一般逆行列を計算し、8波長の光量変化から、3種類の分子の相対的濃度変化を計算した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試作装置が予定通り納入され、予備的な計測を実施し、計測対象分子の濃度を推定する基本的な解析プログラムが完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
送受信距離の異なるチャンネルの信号は、頭部表面から異なる深さの組織の特性に依存すると考えられる。また、異なる周波数帯域の信号は、異なる生理学的機序を反映していると考えられる。そこで、周波数と距離に応じた、3種類の分子濃度変化の位相差の違いを明らかにする。コロナ禍のため、生体模擬資料(ファントム)を用いた計測評価について実施の予定が立っていないが、本年度は、本研究室で実施可能な成人を対象とした計測を進め、異なる脳部位を対象として、刺激条件などを複数設定した計測等の結果を分析することで、手法の妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
当初の計画より試作装置を安価に納入することができたため。また、出席を予定していた学会がコロナ禍で中止となったため。次年度以降に、装置の改善のための物品費、計測に必要な人件費や謝金、出張が可能になった時点での旅費にあてる。
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