2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K20601
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00272477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50197159)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | シトクロム / グリンファティックシステム / NIRS / 脳 / 代謝 / 酸素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳における血液酸素化と代謝の動態を非侵襲に計測可能な8波長レーザーを用いた赤外分光法装置の開発を行なってきた。昨年度、これを用いて、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)、シトクロムcオキシダーゼの酸化型と還元型の差分(ox-CCO)の濃度変化を計測できることを確認した。本年度、水に対してより高い吸光度を持つ長波長のレーザーを含む装置を作れば、組織中の水(H2O)の量変化も同時に計測できるという発想を得た。これにより、睡眠中の脳組織での水輸送の亢進が老廃物の除去を担っているとするグリンファティックシステムの動態も計測できると期待された。そこで、940nmのレーザーを含むような計測装置の改変と、oxy-HB、deoxy-Hb、ox-CCOにH2Oの吸収を加えたランベルト・ベール式よりそれらの変化を計算するプログラムの変更を行った。光源から1、2、3、4cmの距離に配置したセンサーパッドで、組織の異なる深さで4種類の物質の変化を高時間分解能(0.1s以下)で計測できる装置が完成した。成人10名を対象とし、閉眼安静時または周期的呼吸条件における前頭部の計測を行った。また、上肢の虚血時の筋肉の計測を行った。その結果、頭部の浅部では、oxy-HBとdeoxy-Hbが同位相で変化するが、深部では逆位相の変化をすること、oxy-HBとH2Oは浅部で逆位相の変化をすること、虚血時の筋ではox-CCOのゆるやかな減少が生じること等が検出された。これらより、脳組織と筋組織において、異なる深度に応じた酸素化、代謝、水輸送の動態が感度良く計測できることが明らかになった。また、安全性が確立しているクラス1Mのレーザー光強度の範囲内で、成人においてSN比の高い十分な信号が得られたことから、乳児における計測にも問題がないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に全くなかった脳内のグリンファティックシステムの動態が計測できることに気づき、予想外の大きな進展があった。一方、新型コロナウイルス感染症の影響で、当初計画していた乳児を対象とする計測の実施を延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内の水の動態の検出を新たに加えた装置を用いて、乳児を対象とした睡眠時の計測を実施し、脳における血流・代謝・神経活動・水輸送の連関の発達過程に迫る。
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Causes of Carryover |
本年度計画していた乳児を対象とする計測は、新型コロナウイルス感染症の対策のため延期せざるを得なくなり、それに関わる費用を次年度に使う必要が生じたため。
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Research Products
(2 results)