2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of artificial blood vessel for lower limbs distal bypass using bio-3D printing technology and stem cell technology
Project/Area Number |
20K20607
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 助教 (50555084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 大紀 佐賀大学, 医学部, 助教 (00772683)
天本 宗次郎 佐賀大学, 医学部, 医員 (10842908)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
蒲原 啓司 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70555086)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 組織工学 / バイオ3Dプリンタ / 幹細胞技術 / 下肢動脈 / 小口径人工血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
外在性の異物人工材料を用いて作成した人工血管は、抗血栓性、抗感染性、免疫応答の面で課題があり、未だ下肢遠位バイパスに臨床応用できる小口径人工血管は存在しない。3次元培養での細胞凝集塊=スフェロイドを一つの単位として、細胞のみで任意の立体構造体を構築するバイオ3Dプリンタ技術を用いた血管再生の研究、開発を進めてきた。 本研究において重要な細胞ソースとなるヒト線維芽細胞は自発的な細胞間接着によって凝集するだけでなく、フィブロネクチンを中心として細胞外マトリックスを産生しながら、均一に分布した細胞とのモザイクスフェロイドを形成する。細胞外マトリックスはフィブロネクチンを介してインテグリンと結合し、PI3K/AKTやMAPKなどのシグナル伝達経路の活性化に繋がり、細胞接着や生存、蛋白合成を調節している PI3K/AKT経路に着目し、この経路を調節することで細胞凝集やスフェロイド同士の融合がどのように変化するか実験を行った。LY294002によるPI3K/AKTカスケードの抑制がスフェロイドの形成と融合を阻害し、TGF-βによるPI3K/AKTカスケードの活性化はスフェロイドの形成と融合を促進することを示した。さらに本結果からPI3K/AKT経路に関する84遺伝子の発現分析を行い、相対的発現差があるものの中から、代表的な6つの遺伝子(ITGB1、PTK2、MAP2K1、PDK1、GJA1、PI3KR1)を同定した。 自己細胞凝集現象(スフェロイド形成)とスフェロイド同士の融合にPI3K/AKTカスケードが関わり、この経路を制御することで、バイオ3Dプリンタ技術の基盤となるスフェロイドの最適化、及び3次元構造体の作製期間や機械的強度を調整できる可能性が見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染拡大によって研究資材の供給が滞るなど、研究活動に様々な支障が生じたが、本研究の基盤となるスフェロイドの最適化にむけた一定の成果が得られており、おおむね順調に経過していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
スフェロイドの最適化、高機能化に向けて、PI3K/AKT経路に関する6つの代表的な遺伝子に対して、Gene Expression Assaysを使用して追加PCR評価を行う。病理組織学的な評価、分子生物学的な評価を行い、下肢遠位動脈バイパスに適したスフェロイドの作製法、人工血管の構築法・組織成熟方法の検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大によって研究資材の供給が滞り、さらに関係部署との調整など研究活動への様々な支障が生じたため未使用額が生じた。次年度に計画を繰り越し、未使用額はその経費に充てることとした。
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