2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of artificial blood vessel for lower limbs distal bypass using bio-3D printing technology and stem cell technology
Project/Area Number |
20K20607
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 講師 (50555084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 大紀 佐賀大学, 医学部, 助教 (00772683)
天本 宗次郎 佐賀大学, 医学部, 医員 (10842908) [Withdrawn]
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
蒲原 啓司 佐賀大学, 医学部, 教授 (70555086)
野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 組織工学 / バイオ3Dプリンタ / 幹細胞技術 / 下肢動脈 / 小口径人工血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活様式の変化や社会人口の高齢化、糖尿病、脂質異常症、血液透析などの代謝異常による動脈硬化が引きがねとなり、下肢血行不全からの下肢の安静痛、潰瘍、壊疽に陥る重症下肢虚血症例が増加している。現行の異物人工材料を用いて作成した人工血管は、抗血栓性、抗感染性、免疫応答の面で課題があり、未だ下肢遠位バイパスに臨床応用できる小口径人工血管は存在しない。細胞が本来もつ自己凝集能力によって形成される細胞凝集塊(スフェロイド)を立体的に構築するバイオ3Dプリンタ技術によって外在性のscaffold(細胞の足場材料)を一切含まない細胞のみによる機能的な3次元構造体を作製可能である。本バイオ3Dプリンタ技術の基盤となる自己細胞凝集現象(スフェロイド形成)とスフェロイド同士の融合にPI3K/AKTカスケードが関わることを確認し、代表的な6つの遺伝子(ITGB1、PTK2、MAP2K1、PDK1、GJA1、PI3KR1)を同定した。PI3K/AKT経路の活性剤の一つであるTGF-ベータ1の濃度調整によってスフェロイド形成速度やスフェロイド同士の癒合速度をコントロールできる可能性が見い出された。自己細胞凝集現象の機序解明のみならず、スフェロイドの最適化、バイオリアクターを用いた組織成熟工程の最適化、さらに細胞製人工血管の強度調整や作製期間の短縮に寄与する成果と考える。またバイオ3Dプリンタで構築した構造体をバイオリアクターで成熟させながら連結させることで血管構造体を作製し、外科的手法を加える免疫不全ミニブタ(頸部動脈バイパスモデル)への短期移植実験に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる自己細胞凝集現象によって形成されるスフェロイドの最適化、バイオリアクターを用いた組織成熟工程の最適化、下肢遠位動脈バイパス用細胞製人工血管の強度調整や作製期間の短縮に繋がる知見が得られた。また外科的手法を加える免疫不全ミニブタ(頸部動脈バイパスモデル)への短期移植実験にも成功しており、おおむね順調に経過していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き下肢遠位動脈バイパスへの応用を目指した細胞製人工血管の構築法・組織成熟方法の検討と共にブタを用いた大動物実験を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染の影響により、研究資材の供給や学会活動など、研究活動に支障が生じたため未使用額が生じた。次年度に計画を繰り越し、未使用額はその経費に充てることとした。
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