2020 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of sharpened senses through structure, function and network analysis of the cerebellum
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20K20621
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 小脳 / 表在感覚 / MRI / MRS / VBM |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は運動機能や言語機能,眼球運動,平衡機能と密接に関係しており,小脳が障害されると小脳性運動失調や構音障害,眼球運動障害などが起こることは古くから知られている.特に,運動遂行時において運動の実行と運動肢からのフィードバックの差(誤差)の修正に小脳は重要な役割を果たす.一方,近年の脳機能イメージング技術の発展に伴い,表在感覚である触覚刺激によっても小脳が活動することが報告されている.本研究課題では「小脳は皮膚上を物体が移動する感覚を符号化し,“研ぎ澄まされた感覚”に寄与している」という仮説を立て,この仮説を証明することを目的としている. 上記の目的を達成するため,第一段階としてMRIシールドルーム内で使用することができる擦刺激装置を開発し,次に,第二段階として擦刺激の物理評価と官能評価実験を行う.さらに,第三段階として小脳活動に焦点をあて,触覚刺激時の皮質活動の計測解析(fMRI実験)や,脳構造計測解析(VBM実験),神経修飾物質濃度の計測解析(MRS実験),小脳と大脳のネットワーク解析(ネットワーク解析)を詳細に行う.これらを通して,皮膚が擦られた際の情報処理に係わる「小脳の役割」を探求し“研ぎ澄まされた感覚”の神経基盤の解明へと展開させる. 2020年度は,第一段階として,パーソナルコンピューターで詳細に制御でき,かつ,MRIシールドルーム内で使用可能な擦刺激装置の試作器を開発した.現在,MRIシールドルーム内での制御し,fMRI実験に使えることは確認できたが,被験者への身体的な負担(MRI計測時の姿勢に少し無理が生じている)を考慮して,擦刺激装置の大きさと形状を微修正する必要があり,修正している段階である.また,同時に官能評価実験に必要な触覚計を購入・設置し,官能実験を開始できるに至っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の第一段階として,パーソナルコンピューターで詳細に制御でき,かつ,MRIシールドルーム内で使用可能な擦刺激装置の試作器を開発できたことから,順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,2020年度に開発した擦刺激装置の試作器を改良し,擦刺激装置を完成させるとともに,健常者10名以上を対象にして擦刺激時の官能評価実験を開始する.さらに,同じ被験者を対象にして小脳の構造・機能解析を実施し,官能評価結果との関係性の分析に着手する予定である.
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Causes of Carryover |
MRIシールドルーム内で使用するための擦刺激装置の試作器を開発することができたが,被験者の身体的負担が少なくするための改良が必要である.そのため,2021年度に試作器に改良を加え「擦刺激装置」を完成させる必要があり,次年度使用額が生じた.さらに,COVID-19の影響で,学内でヒトを対象とした実験時間の制約があり,一連の予備実験を行うことができず,リサーチアシスタント(RA)を雇用しなかった.そのため,2021年度に予定していたRA雇用を増員する必要があり,次年度使用額が生じた.
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