2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of sharpened senses through structure, function and network analysis of the cerebellum
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20K20621
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | MRI / fMRI / 動的触圧覚刺激 / 機能的結合 / 小脳 / 一次運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では「小脳は皮膚上を物体が移動する感覚を符号化し,“研ぎ澄まされた感覚”に寄与している」という仮説を立て,この仮説を証明することを目的としている.上記の目的を達成するため,2021年度は42名の健常成人を対象として指先を動くように感じる触圧覚刺激時の皮質活動を計測・解析した.脳活動の計測には3テスラ磁気共鳴画像装置(Cannon)を用いたブロックデザインで行った.撮像中,単純刺激および複雑刺激(動くような触圧覚刺激)は非磁性体の触覚刺激プローブを用いて右手指示に与えた.単純刺激および複雑刺激それぞれ6秒間刺激を1施行とし,各24施行呈示した.また,一次運動野の機能局在を推定するために,3 0秒間の右手指タッピング課題を3回実施し,その時の脳活動も計測した.脳活動解析にはSPM12を使用し,機能的結合解析にはCONNを用いた.脳活動においては全脳ボクセルを対象に初期閾値p<0.001(多重比較補正なし)を設定し,その後p<0.05(多重比較補正あり)を満たすクラスターを有意とした.機能的結合解析では全脳のボクセルを対象にp<0.05(多重比較補正あり)を満たすボクセルを有意とした.その結果,単純刺激および複雑刺激条件ではいずれも左一次体性感覚野(S1)の手領域に有意な脳活動上昇が見られた.S1を関心領域として,全脳のボクセルを対象に機能的結合解析を行ったところ,複雑刺激条件では,左一次運動野,両側の後頭頂皮質,右小脳との有意な活動相関が確認された.さらに,この一次運動野において有意差を示すボクセルの座標は,示指のタッピング課題によって活動上昇が見られる脳領域と相似していた.これらの傾向は単純刺激条件では確認されなかった.これらの活動特性と,被験者個人の体性感覚機能(二点識別覚閾値)との関係性も解析したが,関係性は認められなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動的な触圧覚刺激(複雑刺激)によってS1と運動実行機能に重要な一次運動野や小脳との機能的結合性が上昇することや,空間情報処理に重要な役割をもつ後頭頂皮質においてもS1との機能的結合が上昇することが判明した.また,体性感覚機能のパフォーマンスが良い人ほど,小脳の灰白質容積が大きいことが明らかになった.このように体性感覚機能と小脳を中心とした構造・機能との関係性が明らかになりつつあるが,COVID-19の影響もあり,触り心地などの官能検査との関係性に着手できていないため,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,健常者20名以上を対象にして擦刺激時の官能評価検査結果と皮質活動との関係性を解析する.さらに,同じ被験者を対象にして小脳の構造・機能結合解析を実施し,官能評価結果との関係性の分析を行う.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で,学内でヒトを対象とした実験時間の制約があり,一連の実験が少しずつ遅れている.そのため,2021年度に予定していた被験者謝金やデータ計測・解析補助謝金を減らし,2022年度に被験者およびRA雇用を増員して対応する必要があり,次年度使用額が生じた.
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Research Products
(6 results)