2023 Fiscal Year Research-status Report
身体運動とうま味で奏でるスポーツと健康の価値の創造
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20K20623
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英幸 筑波大学, 体育系, 教授 (00292540)
冨賀 裕貴 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (50826394)
上原 吉就 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70373149)
川中 健太郎 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (80339960)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | イノシン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,昨年度の報告においてマウスから摘出した下肢筋群よりプレプレーティング法を用いて筋サテライト細胞を単離し,細胞培養の分化過程においてイノシン酸を添加したところ脂質代謝に関連する遺伝子発現が変化していることを見出した。 本研究ではマウスを被験動物として,高脂肪食負荷により肥満を誘導したモデルを用いて,イノシン摂取が体内の脂肪蓄積および脂質代謝に関連する遺伝子発現調節に及ぼす影響を検討した.7週齢のC57BL/6J雄性マウスを一週間順化させた後,通常食群+通常飲水群,通常食+イノシン飲水群,高脂肪食+通常飲水群,高脂肪食+イノシン飲水群の4群に分け,12週間介入した.イノシン飲水群は1日当たりの飲水量と体重をもとに体重1グラム当たり0.2mgのイノシン量を摂取するように調整した.介入終了後,体重を測定したのち,骨格筋や各臓器の組織を摘出し,重量を測定した.高脂肪食群の体重は通常食群と比較して有意に増加したが,仮説に反してイノシン飲水による体重増加の抑制効果は観察されなかった.しかし,イノシン飲水群の体重への影響は認められなかったが,鼠径部の白色脂肪組織重量は明らかに抑制されていた.さらに,高脂肪食群の肝臓は脂肪肝を呈する変色が観察されたが,イノシン飲水によってその程度は軽減されていた. 以上のことより,イノシン飲水は皮下脂肪蓄積の抑制と脂肪肝の進行抑制に寄与している可能性が示唆された.現在,各組織別の脂質代謝に関連する遺伝子発現を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋サテライト細胞の培養実験およびマウスを用いたモデル実験の結果よりヒト実験に着手する準備を進めることを計画していたが,イノシンの新たな生体内作用(抗肥満作用の可能性)を見出し,追加の新規実験を計画する必要が出てきた.現時点でヒト研究に着手するエビデンスをさらに集積する必要があり,十分な準備が整っていないことからやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
仮説に反して,イノシン飲水による体重増加の抑制効果は認められなかったが,脂肪蓄積の抑制と脂肪肝への移行軽減が観察されたことより,それらの変化を引き起こす責任臓器として骨格筋の代謝変化を想定し,実験を進める予定である.これは,当初の仮説である「イノシンは筋グリコーゲン蓄積を促進させる作用を有する,およびミトコンドリア機能向上の作用を有する」ことにも関連していることから,イノシン摂取による糖質代謝および脂質代謝の両者を検討していく.具体的にはマウスを被験動物として高脂肪食負荷による肥満を惹起させ,イノシン酸摂取のタイミングを検討するとともに自発的運動による脂肪合成抑制・分解促進に係る遺伝子発現について各組織別における相加的・相乗的効果を検証する.
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Causes of Carryover |
米国コロラド州デンバーで開催されたアメリカスポーツ医学会での発表のために2名の海外出張旅費を計上していたが公務の関係で1名の参加となり減額となったこと,COVID-19感染症の5類感染症移行後も研究に従事する者への感染および拡大防止のため,前年度に引き続き研究を遂行する研究員の実験スケジュール調整を図ったことで,薬品や分析に必要な試薬などの消耗品の支出が減額になったことより変更が生じた. 令和6年度は,令和5年度の研究で新たに遂行する実験プロトコールを予定しており,そのための消耗品,その成果を発表する国際学術学会への参加および国内学術学会発表に係る旅費,学術論文投稿費用,研究支援者の雇用などに充当する予定である.
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Research Products
(2 results)