2023 Fiscal Year Research-status Report
血中β2ミクログロブリンを肝臓から排泄する新たな薬物-誘導除去療法のPOC構築
Project/Area Number |
20K20646
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
山岡 哲二 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (50243126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神戸 裕介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (30747671) [Withdrawn]
佐藤 充 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (90391565) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | β2ミクログロブリン / DNCS / 一本鎖抗体 / ナビゲータ / 体外排泄 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が提案している新たな創薬概念であるDrug-Navigated Clearance System(DNCS)は血中の病院物質を補足して、肝臓棟に存在する他標的レセプターに誘導、さらに、分解排泄させることで、体内の病因物質を低減あるいは除去するものである。本研究では、β2ミクログロブリン(β2MG)をターゲット病因物質として選択し、肝臓へと誘導する。In vitroでの標的捕捉から細胞取り込み、in vivoでの臓器への誘導を検証を進めて満足行く結果を得てきた。ナビゲーター分子の機能向上、特に、血中でのβ2MGとの結合能力の向上を目指して、β2MGの捕捉分子として、抗β2MGの一本鎖抗体(scFv)を、設計し、特許申請を完了した。肝臓への誘導分子としてはアポリポタンパクEのN末端領域(ApoE NTD)を選定し、両者の融合タンパクであるナビゲータ分子を合成した。ナビゲータと脂質(DMPC)とを混合し、得られた複合体を改良型ナビゲーターとした。これまでに、健常C57Blマウスでβ2MGの体内動態を評価し、肝臓、腎臓へのβ2MG蓄積量の変化を確認した。従来のナビゲータ(ApoE NTD-MHC α3)と比較して、改良ナビゲーターではβ2MGの腎臓蓄積が減少し肝臓蓄積が増加することを過人した。しかしながら、健常ラットでは、ナビゲーターの本来の効果が埋没していると考えられる結果となった。そこで、様々な腎欠損モデルマウスを用いて改良版ナビゲータの有効性評価を行っってきた。25I-β2MGを血中投与した20分後の肝臓集積量は、125I-β2MGのみを投与した条件に比較して、有意に向上した。さらに、放射活性は消化管内容物で認められたことから、ナビゲータは我々が設計したメカニズムに従って血中b2MGを、胆汁排泄を介して体外に排除する効果があることが明らかとなった。現在、論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
β2MGの捕捉分子として一本鎖抗体を用いた改良版ナビゲーターの評価を行った。ナビゲーターの改良により、β2MG代謝経路の切り替え能を亢進することに成功した。また、本成果をBiomaterials Science誌(IF6.84)にて発表し順調に進んでいた。令和4年度末で本プロジェクト採択時の国立循環器病研究センターを定年退職し、現在勤務する公立小松大学に異動した。令和5年春には研究棟が完成しシームレスに研究を続ける予定であったが、研究棟の完成が令和5年11月と大きくずれ込んだ。その後、装置の搬入や動物試験環境の設定となり、研究進捗の遅れから研究期間の延長申請をした。現在、複数の動物実験モデルを用いたβ2MGの臓器蓄積を評価し、順調に進み始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
正常状態ではβ2MGは腎臓へ速やかにまた効率的に分布処理されることから、β2MGの正常な代謝に基づく腎臓での処理が、ナビゲータの効果を相殺するように働くことが明らかとなった。両側腎臓切除モデル、や片腎切除モデル、段階的切除モデルなどを作成し、健常マウスを用いた場合と比較して有意な効率の実証が得られてきた。もっとも効果的なモデルとして、 C57BL/6マウスの両側の腎臓基部を結紮するモデルが構築できたので、R5年に実施する予定で実験環境的に十分に進められなかった実験内容をR6年度に検討する。
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Causes of Carryover |
定年後の転職に伴い、研究施設等の大きな変化と、研究環境の整備に時間と予算が必要となったために、期間延長し、R6年度使用学が生じた。
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