2022 Fiscal Year Research-status Report
胸部単純エックス線写真からの骨粗鬆症判定システムの構築とその応用
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20K20660
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
山本 浩一 森ノ宮医療大学, 医療技術学部, 教授 (40362694)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / マウス / X線画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦で人口の10%以上が罹患している骨粗鬆症は直接的には生命に対する危険性がないが、それが原因で骨折が生じると要介護状態、うつ病や認知症の発症、死亡のリスクが増大する。国は骨粗鬆症検診を実施・推奨しているが、受診率が極めて低い。そこで、本邦で多くの人が1年に1度は受けている胸部X線検査で将来の骨折リスクが自動的に予測でき、DXAなどの精密検査を受診するよう啓蒙できれば画期的ではないか?と考え、深層学習を利用したX線画像分類による骨折リスク予測システムの構築を行うことにした。 2021年度に所属研究機関が変更となったため、新たな所属機関において、まずは実験環境の構築が必要となった。何もないところからの構築のため、非常に困難な状況ではあったが、X線画像を取得するための装置を選定し、所属機関・関係機関(労働基準監督署)等に対して適切な諸手続を行い、2021年8月に稼働するに至った。また使用する動物として卵巣摘出マウスと非摘出(擬手術)マウスを選定し、所属機関内の倫理委員会による審査を経て2021年9月よりこれらマウスの全身X線像(正面・側面・斜位像)を2日から3日おきに取得し、4ヶ月間の撮影で得られた画像上の大腿骨・下腿骨の骨画像から骨密度を推定するシステム構築を試みる実験を行った。 2022年度はこれに加えて、促進老化・短寿命を示す Senescence-Accelerated Mouse Prone (SAMP) 系統のうち、老年性骨粗鬆症を自然発症するSAMP6マウスと正常老化を示す Senescence-Accelerated Mouse Resistant (SAMR) 系統マウスを用いて、2日から3日おきに取得し、6ヶ月間の撮影で得られた画像上の大腿骨・下腿骨・全身の骨画像から骨密度を推定するシステム構築を行い、その精度を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年4月より所属機関が変更となり、コロナ禍の状況でなかなか研究ができず、2021年9月頃から実験が実施できるように環境が構築できたが、10月以降から自身の講義・実習、会議等の学内業務負担が増え、科研費研究に割り当てることができるエフォートが非常に少なくなってしまった。2022年度も業務過多でもあったたが、異なる種類(系統)のマウスを使用して画像取得を行い、また深層学習システム構築のための条件設定することに専念したが、2022年度内に成果をまとめることが叶わなかった。しかし、あと一歩のところまで来ていると考えて居るため、当初の予定よりも「やや遅れている」と判断し、期間延長が認められた2023年度内に当初の予定に近づける様に最大限努力する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年9月に実験動物に使用できるX線撮影装置を導入したが、この装置だけでは骨量の僅かな変化を確認することが非常に困難であった。そのため、2022年9月より実験動物に使用できるCT装置を導入し、現在稼働するに至っている。学内業務に追われながら、実験動物(卵巣摘出マウス、SAMP6系統マウス)の骨経時変化を追跡することは非常に困難を極めているが、持続的な作業方法を見出しているので、2023年度内には当初の予定である「実験動物を用いた骨折リスク予測システムの構築」を完遂できるように研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2021年度に新しい機関に転籍したことで当初所属先で使用予定だったX線撮影装置が使用できなくなった。所属機関にはX線装置があったが、動物用には供することができなかったため、得られた経費を使って本研究に使用可能となる安価なX線撮影装置を購入することを決めた。導入後、予定されている動物のX線写真は取得できていたものの、この装置だけでは骨の変化を捉えることが非常に困難であったため、簡易的に骨密度・骨量計測が可能とするための、動物に使用できるX線CTシステムを2022年9月に導入した。期間延長が認められた2023年度はさらにデータを蓄積してディープラーニングシステムの精度を高め、当初計画していた「実験動物を用いた骨折リスク予測システムの構築」を完遂できるように研究を進めていく次第である。 採択が決まった2020年度に予算を使用できなかったこともあり、2022年度末日時点で計画していた助成金使用額とに差違が出た。2023年度にも研究継続することを認めて頂くことができたので、この助成金を使用して、さらなるデータの取得のための実験動物の購入ならびにディープラーニングPCシステムの構築に使用するだけで無く、研究成果の発表のため(論文投稿のための英文校正費用、投稿料)に使用することを計画している。
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