2020 Fiscal Year Research-status Report
健康寿命の延伸に向けた再生医療技術によるヒト心筋細胞の老化関連分泌現象の解明
Project/Area Number |
20K20662
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
三明 淳一朗 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40372677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白吉 安昭 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90249946)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 健康寿命 / 老化 / 老化関連分泌現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化細胞は炎症惹起作用や発がん促進作用のある種々の因子を自律的に分泌する細胞老化関連分泌形質(SASP)を獲得することが知られている。そして、SASPは老化関連疾患の発症あるいは増悪の原因と考えられている。SASPは不均一であり、SASPの組成は老化細胞誘導物質と細胞型に依存する。しかし、これまで同定されているSASP因子は分裂細胞についての知見であり、有糸分裂後体細胞であるヒト心筋細胞から分泌されるSASP因子については十分に明らかにされていない。 そこで、本研究では、老化ヒト心筋細胞のSASP因子を特定し、老化ヒト心筋細胞由来SASP因子の生理作用、そして老化ヒト心筋細胞由来SASP因子の誘導機序を明らかにすることを目的とした。まず、インビトロ実験系で、iPS由来ヒト心筋とラット由来H9C2細胞に対し、異なる老化細胞誘導物質を用いて、DNA障害誘導性老化(ドキソルビシン)、代謝ストレス誘導性老化(パルミチン酸)、酸化ストレス誘導性老化(tert-ブチルヒドロペルオキシド)を生じさせた。全体として老化が進んでいることを確認するために老化マーカー遺伝子であるp16発現の増加を評価し、単一細胞レベルで細胞老化を確認するために老化関連βガラクトシダーゼ染色陽性の細胞を評価した。心筋細胞に特異的SASPであることを検討するためにヒト由来線維芽細胞にも同様の老化誘導を行った。また、細胞老化によりSASP因子誘導されるという因果関係を明らかにするために、細胞老化細胞除去薬により減少するヒト心筋細胞由来のSASP候補因子を検討した。 その結果、ヒト心筋細動由来のSASP因子として、細胞接着因子、セルフリーのミトコンドリアDNA、心筋に発現の多いマイクロRNAなどが候補として挙がってきている。また、これらの変化は老化細胞誘導物質と細胞型に依存することが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的である、ヒト心筋細動由来のSASP因子として、細胞接着因子、セルフリーのミトコンドリアDNA、心筋に発現の多いマイクロRNAなどが候補として挙がってきている。 また、これらの変化は老化細胞誘導物質(DNA障害、酸化ストレス、そして代謝ストレス)と細胞型(繊維芽細胞との比較)に依存することが明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト心筋細動由来のSASP因子として、細胞接着因子、セルフリーのミトコンドリアDNA、心筋に発現の多いマイクロRNAなどが候補として挙がってきている。これらの中で、特に変化が大きいものを同定している。この変化が大きいSASP因子に着目して、その生理作用と誘導分泌作用の解析を進める予定である。 また、インビボの実験として、高脂肪食負荷による代謝負荷誘発性個体老化促進を行い、同因子を測定する予定である。また、その因子が老化細胞除去薬で減少するか観察する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度は、既に申請者らの研究室および研究施設に備わっている研究材料、試薬、機器の使用で実験が可能であったため、次年度の使用額が生じた。
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Research Products
(7 results)