2020 Fiscal Year Research-status Report
「客観」と「表現」の境界を探る医学コンテンツデザイン指標の創出
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20K20681
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
元木 環 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (80362424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 重人 京都大学, 医学研究科, 教授 (80432384)
吉田 雅則 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (90589954)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 共創デザイン / アカデミック・ビジュアリゼーション / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、発生学コンテンツの元となる標本3D断層画像の生データを造形物に出力可能な立体形状モデルデータに変換する際の、医学研究者と立体造形専門家(制作者)のデータ解析およびクリーンナップのプロセスに着手し、その過程の打ち合わせ(オンラインミーティング)について画面共有と会話の記録を行なった。まず、研究者と制作者は、それぞれ学術的な3次元立体造形コンテンツの制作経験を持っているが、このメンバーとしては初対面での制作になり、特に制作者は発生学の標本データの造形化は初めての経験となる。このため、既存の生データをモチーフに、生データ解析とモデル化するためのクリーンナップ工程を試験的に行い、必要な打ち合わせを行ない、これらを記録した。 また、近似の画像データのモデル化を自身で行っている古生物学領域の研究者へ、そのデータの取り扱いやモデル化のデザインプロセスについてインタビューを行い、既存生データのモデル化の進め方について、データを変換しモデル化を試みながら、意見交換を行い、これも記録を行った。 これらの打ち合わせやインタビュー、意見交換の記録は、実際のデータ解析とクリーンナップに入る準備段階において、データ形式と取り扱いおよび受け渡し方法、標本とデータの関係、あるいは制作環境の確認共有や取り決めなど、生データをモデル化する作業工程に入る以前に必要となる、さまざまな情報の捉え方、およびデザインに臨む態度を共有し、すり合わせを行っている様子が取集できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、本研究では、標本の最新施設で撮像可能な解像度での3D断層画像データ撮像と、最終的なコンテンツに求められる形状についての事例調査から開始し、研究者と制作者が対面で実際に立体造形に出力したプロトタイプを介しながら打ち合わせを行うデザインプロセスを記録する予定であった。 しかし、計画と異なる研究期間で始まったこと、撮像設備機器を持つ大学共同利用施設や参考にすべき医学コンテンツの展示制作を実施している機関、研究者と制作者(研究メンバー)の職住についても他府県にあるため、所属機関の新型コロナウイルス感染症拡大防止の活動制限レベル方針や各々の施設機関の活動状況が折り合わず、移動を伴う活動が全て実施できなかったことから、当初研究計画が半期ずれ、さらにプロセスが前後している。 ただし、研究者と制作者がプロトタイピングと意見交換の中で交わすコミュニケーションの内容については感染症拡大状況下においても変動はなく、対面に替え遠隔コミュニケーションツールを用いて実施できる手法を模索し、進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度についても、感染症拡大状況下の中での活動になるため、当初予定のデザインプロセスとは異なる手段を取らざるを得ないと想定されるが、研究メンバーも本年度のような状況下におけるコンテンツデザインの経験を積んだため、打ち合わせに用いるプロトタイプの共有方法を変更し、研究に必要なデザインプロセスとその記録を推進する。標本からの生データの取得については、状況に応じて実施を再考する。遠方にある博物館等の機関施設での調査が困難であれば、当該機関の関係者へコンタクトを試み、オンラインでのインタビュー調査、データでの閲覧依頼を打診するなど、調査方法を切り替えて実施する。
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Causes of Carryover |
初年度の活動予定である、高エネルギー加速器研究機構(KEK)加速器を用いた非破壊的三次元イメージング法による詳細な3Dデータの取得とクリーンナップ、博物館等における医学コンテンツ展示利用についての事例調査、研究メンバーによる打ち合わせが、都道府県を超える移動を伴う活動であったため、所属機関の新型コロナウイルス感染症拡大防止の活動制限レベルの方針に従い、やむを得ずプロジェクトの進め方順位を前後することとなり、旅費・謝金の予算の執行に変更が生じ次年度使用に回る額が生じている。 また、本研究では、対面での打ち合わせ時に3Dデータをプリンター出力した立体造形を指し示しながら、ブラッシュアップしていくデザインプロセスの会話記録を分析する計画であったが、前述のとおり対面による打ち合わせを実施できる見込みが立たなかったこと、購入予定の3Dプリンター(Formlabs社Form3)に不具合が報告されていた期間と重なり、購入時期をみあわせることとなったため、設備備品費の執行を、次年度新規ファームウェアのリリース時期に変更する。
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