2021 Fiscal Year Research-status Report
The conflict between "anthropomorphism" and "symbolism" in instantiation of "characters"
Project/Area Number |
20K20683
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
Alam Djumali 山口大学, 人文学部, 教授 (10290991)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 生命化 / 生命ネットワーク / キャラクター / 転移 / 模倣 / イノベーション / イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目(2021年度)の研究活動では、以下3つの作業を行なった。 【事例の取材と整理】おおよそ当初の計画通り、10のキャラクター/物語のうち、初年度に取り上げた6つのキャラクターを除いた残りの事例について取材・整理を行なった。すなわち、1つ多めに、⑦『刀剣乱舞』、⑧『鋼の錬金術師』、⑨『鬼滅の刃』、⑩『ウマ娘プリティーダービー』、⑪『魔法少女まどか☆マギカ』を取り上げた。 【研究論文の執筆】次の研究論文を執筆した。ジュマリ・アラム「キャラクターを実体化する活動(キャラ活)に見る《転移》:サブカルチャーの精神分析学的な解読の試みとして」『山口大学文学会志』第72巻、2022年4月。 【構想/分析的視座のブラッシュアップ】今年度行った事例の取材・整理と研究論文の執筆から、これまでの研究計画において理論的な下敷きにしていた「ラカン派精神分析」を、さらに発展させたり自分なりの拡張や新たな構想を加えたりすることができた。すなわちキャラクターというイメージの実体化が、とりわけ「イメージの模倣とイノベーション」(これについてはガブリエル・タルド説も参照)、「生命化」(擬人化概念を発展・適合化させた概念として)、「生命ネットワーク」(これについてはダン・スペルベル説も参照)を介して行われるという論点についてである。特に「生命化」と「生命ネットワーク」については、本研究の主テーマであるキャラ活(キャラクターを実体化する活動)に対する重要かつ独創的な成果として、3年目の研究でまとめる予定である。「生命化」と「生命ネットワーク」は、キャラ活におけるキャラクターが、擬人化されるにとどまらず、新しい人間関係をも構築可能であるということを示唆したものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドワークは全般的に当初の研究計画通りに進んでいる。計画していた10のキャラクター/物語のうち、2年目ですべて終えることができた(プラス1)。各キャラクター/物語に必要な情報が若干不足している部分もあるが、おおむね計画通り進めることができた。構想と分析的視座に関しては、ケーススタディーにふさわしいかたちで、フィールドワークを進めながら、ボトムアップ的に改良を行ない、新発見につながりつつある。調査の実施体制に関しては、当初の研究計画通り、学生アルバイトに協力を依頼したが、この点に関しても、研究室の所属学生がここ数年、一定の人数に達し、多様な事例の調査に協力してもらうことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2022年度は、以下の作業を進める予定である。 1)すでに調査し終わった11のキャラクター/物語について、主体(アクター)、対象(イメージ/キャラクター)、主体の欲望、実体化/生命化の過程、生命ネットワークの実情の観点から整理しながら分析する。その中で、不足している情報を順次補ってゆく。 2)生命化と生命ネットワークの分類と比較を、取り上げた事例を通して分析し、図式化を試みる。その中で、キャラ活(キャラクターを実体化する活動)というテーマまたは研究ジャンルを、サブカルチャー研究の有力の視点・アプローチ・構想・枠組みとしてまとめる。 3)年度内に、上記1と2の内容を含めた論文を執筆して公表する。
|
Causes of Carryover |
2021年度の実施に関しては、予定していた経費のうち、7千円ほど次年度に使用することになった。学生の協力を得て進めた、前記5つのキャラクターに関する情報収集が、若干予定よりも早めに完了したためである。またコロナ禍の中で、いくつか見学を予定していたイベントが中止になったためである。繰り越し経費の使い道については、2022年度に行う、キャラクター/物語に関する不足情報を補う研究活動にあてる予定である。
|
Research Products
(1 results)