2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on New Moral and Vegetarianism in Contemporary Asia
Project/Area Number |
20K20684
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長谷 千代子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20450207)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 菜食主義 / 仏教 / 中国 / 日本 / 台湾 / 倫理 / 環境主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の主な研究実績は、下記のとおりである。 ・2022年6月5日 学会発表「経験と宗教:離見の見から考える」文化人類学会(明治大学)/・2022年9月12日 白老で菜食レストランの店主にインタビュー/・2022年12月2~8日 東京佛光山寺、法水寺などで菜食者にインタビュー/・2023年12月 『岩田慶治を読む』(「第3章 岩田慶治の「宗教」と「宗教文化」」を執筆)出版/・2023年1月9~11日 東京佛光山寺で菜食者にインタビュー/・2023年1月26日 海外学術雑誌Open Theologyに論文「Autoethnographic Analysis on the Religious Experience of the Mizuko」を投稿/・2023年3月2~9日 台北で一貫道の菜食者にインタビュー、菜食レストラン見学/・2023年3月14~18日 シンガポールで佛光山寺の菜食者にインタビュー。菜食レストラン見学。 2022年度は、特にインタビュー調査に力を入れた。特に台北とシンガポールでは、台湾系宗教関係の菜食者のインタビュー調査を実施することができた。台北でのインタビュー及び菜食レストラン見学では、菜食主義のタイプの分類において、日本とはやや異なる傾向が見られたので、早急に違いを整理したいと考えている。 6月で学会発表した内容を踏まえて、英語論文にしたものを2023年1月に、海外の雑誌に投稿した。水子に関する印象的な出来事が個人のなかでどのように経験され、理解されるかを論じた理論的研究で、菜食者の経験談を分析するための観点や手法についての考察の基礎となるものである。12月に出版された本の1章は、同様の考察を岩田慶治の読解に適用したものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が収束に向かってきたため、2年前に行う予定だったシンガポールと台湾での調査をようやく実施することができた。インタビュー調査も順調に蓄積出来ている。ただし、分析のための時間が十分に確保できなかったこと、2019年に学会発表を終えてあとは論文にするだけの材料が、未だに論文化できなかったことが心残りである。コロナ禍でいままで滞っていた実地調査を優先させたため、やむを得ない面もあるが、慢性的な研究時間不足に悩まされている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度については、本科研の延長が認められたのと、本科研を発展させたテーマでの基盤(C)が採択されたため、資金面はかなり恵まれた状況にある。台湾、シンガポール、香港など、菜食主義が盛んな地域での海外調査を積極的に行いたいと考えている。それと同時に、2023年度中には、2019年までの研究成果に基づく論文を英語で発表したい。この論文は香港大学の王向華氏、東北大学の川口幸大氏らと出版する書籍の一章として執筆する予定である。また、インタビュー資料がある程度量的(20名弱)に蓄積できたので、分析に本腰を入れて、どのような契機が菜食を促進するのか、菜食の開始と心身や思考の変化がどのように相互作用するのか、彼らに共通して見られる要素(思想傾向、社会的影響など)はあるか、といった点についての仮説を立てる作業を行いたい。2023年度と24年度くらいまでは、引き続きインタビュー調査と観察調査の蓄積を行い、菜食が広まる背景にある人々の倫理観の変化や社会変化の分析につなげていきたい。
|
Causes of Carryover |
研究開始以来、コロナ禍で海外調査ができない時期が長かったため、旅費が使用されなかった結果である。2022年度後半から海外調査に行きやすくなったため、徐々に調査会数を増やしつつある。2023年度は、現時点で、夏に台湾、シンガポール、冬に香港での調査が決まっているため、主にそれによって消費される予定である。他に、継続的にインタビューを行うべき相手が数名でてきたので、その人々に対しては謝金を支払うことにしている。また、英語論文を執筆する際に、英文校正費用も必要となる。
|
Research Products
(2 results)