2022 Fiscal Year Annual Research Report
雨庭の主流化モデルの提案に資する雨庭の植栽デザイン手法の開発
Project/Area Number |
20K20687
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
阿野 晃秀 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 嘱託講師 (70817642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 幸裕 京都大学, 地球環境学堂, 名誉教授 (40141501)
山下 三平 九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (50230420)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 雨庭 / 植栽 / グリーンインフラ / Planting Design / Rain Gardens / Plant Selection |
Outline of Annual Research Achievements |
雨庭に適した緑化植物の選定を定量的かつより客観性の高い方法で行うために、前年度までの実験系を改善した。2Lポットに14種の候補植物を植栽し、、2日間浸水区、1日間浸水区、冠水なしのことロール区に分け冠水耐性を検証した。また、植物体の受けるストレスの検知方法として、光合成活性と葉緑素量を測定した。結果、ミソハギやオミナエシなどの冠水の影響が見られない種(=雨庭の底部に適している)、カワラナデシコやキキョウなど冠水ストレスと受けやすい種(=雨庭の上部に適している種)を判別することができた。また、葉の状態などを目視評価していた前年度までの実験系では得られなかった成果として、真夏日では冠水によって光合成活性の状態が有意に改善した。これは、冠水日以外の乾燥のストレスからの回復によるものと考えられる。渇水の頻度も高くなってきている昨今の気候を鑑みると、雨庭に適した植栽の特性として、乾燥耐性も考慮する必要が示唆された。また、社会実装をおこなったサイトでのモニタリング成果もまとめた。植栽した17種のうち枯死が確認されたのはシャガのみで、その他の種は潅水の無い条件下で問題なく成長し開花も観察された。雑草の侵入も1コドラート(約1m2)あたり2個体に抑えられていた。また、当該雨庭に対する住民の意識評価も行った。10段階評価では、雨庭導入前の一般的な植栽(カイヅカイブキとパンジー)と比べて平均して約2点評価が上がった。「雨庭を自宅の敷地に導入したい」と回答した人の主要な理由は「地域の治水に貢献したい」「街並みの美化に貢献したい」「自然な雰囲気が好きだから」「除草が楽だから」「季節の変化が楽しめるから」であった。以上より、本研究で扱った雨庭のシステムとデザインは、一般的な植栽帯・花壇よりも維持管理の手間を省くことができ、治水・防災に関心のある住民に好意的に受け入れられることが示唆されたと言える。
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