2021 Fiscal Year Research-status Report
Preliminary research for studies of late Cold War culture and construction of an international cooperative research platform
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20K20694
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
越智 博美 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90251727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 ゆかり 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70249621)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 冷戦期文化政策 / 一次資料 / 図書館 / 図書館司書 / CULCON |
Outline of Annual Research Achievements |
海外における冷戦後期における文化政策の資料の予備的な探索を主要な目的とする本課題はコロナ禍により初期予定の大幅な変更を余儀なくされている。極めて制約が多いなかでおこなっている最大限の努力として、可能なかぎり日本において入手可能な資料を確認すること、および文学作品や回顧録などから冷戦期の文化政策の変容をあぶり出すことを試みている。 吉原、越智ともに、後期冷戦文化政策の主要な企画者のひとりであるCharles B. Fahs(ロックフェラー財団、のち国務省)の経歴とキャリアに関する資料を整理した。吉原は、アメリカ文化政策に日本側から対応した機関として、アメリカ文化会館およびそれと緊密に連携した地方公立図書館に注目、そのなかでも鹿児島県立図書館奄美分館館長を務めた小説家・島尾敏雄につき資料を収集整理した。越智は、冷戦期文化政策に本というインフラから関与していた女性ライブラリアンの不可視化された働きに着目し、現在入手可能な記録を収集したほか、「女性ライブラリアンの歴史に光を当てる――歴史と展望」というオンラインの講演会とラウンドテーブルを組織し、今後女性ライブラリアンの働きについて資料収集を行う際に有効なネットワーク作りを行なった。 また、これまでの中間的な成果発表と人的ネットワーク作りという目的も持ちつつ、American Studies Associationにおいて創作学科に関するパネルに越智、吉原ともにパネリストとして参加し、研究発表、意見交換を行ったほか、2022年3月には創作と後期冷戦文化政策をテーマに国際研究集会(ラウンドテーブル、および講演)を実施し、最新の研究状況の共有をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究プロジェクトは、冷戦後期の文化政策について、おもに海外に所蔵されている一次資料の所在を確認することを大きな目標に据えているが、コロナ禍により、その部分が大幅な遅滞を強いられているという点では大きな遅れである。しかし逆に国内にてできることに注力した結果として、国内の図書館をめぐる貴重な資料、および人脈を作り出すことに成功したのは、大きな収穫である。そうして意味で、遅れてはいるものの、そのなかでの成果を加味して今回のような評価を行う次第である。 なお、 海外における資料調査が可能になり次第調査を行うべく資料調査対象となっているRockefeller Foundation Archives、スタンフォード大学のアーカイヴ等については連絡を取り、調査可能になった時点で訪問をする準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず行わねばならないのは、海外における資料調査である。可能になり次第調査を行うべく資料調査対象となっているRockefeller Foundation Archives、スタンフォード大学のアーカイヴ等については連絡を取り、調査可能になった時点で訪問をする準備を整えているほか、人を頼れば一定の収集が可能な場合には可能な限りそうした収集方法も行いつつある。とりわけ今年度に至っても海外資料収集がままならない場合には、スタンフォード大学についてはリサーチャーを雇うことも念頭において研究を進めていく所存である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外における資料調査の実現の見込みが経たないままであったことに加えて、10月発表のASAについても、当初プエルトリコ開催であるということで、現地に赴いて参加する予定であったが、直前に学会そのものがすべてオンラインに変更になり、それにともない出張についても取りやめになったため。 今年度、渡航可能な状況になり次第海外資料調査を開始することで、未使用分を使用していく予定である。
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Research Products
(9 results)