2022 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Database for Quantitative Analysis of Language with a View to Clarify the Process of Composition of the Ancient Indian Literature
Project/Area Number |
20K20697
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天野 恭子 京都大学, 文学研究科, 人文学連携研究者 (80343250)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 古代インド / ヴェーダ / マイトラーヤニー・サンヒター / TEIデータ / コーパス / サンスクリット / 自動文法解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、古代インドの祭式文献ヴェーダの計量分析を可能にする、文法解析付きデータ作成を目的としている。ヴェーダ文献の言語は、サンスクリット語の中でも古い特徴を残す。サンスクリット語は語と語の接触部分に音の融合あるいは変化を起こすことから、元の文法形の解釈に複数の可能性を生じ、そのためプログラム等による自動解析が非常に困難とされてきた。またヴェーダ語は特有の古い語彙や文法カテゴリー、活用語尾を持つことからも、解釈に複数の可能性を生じ、解析困難な箇所が少なくない。ドイツ、デュッセルドルフ大学のOliver Hellwigが2009年に発表した、サンスクリット語の文法解析プログラムは自動で文法解析データを作成する可能性を拓いたが、解析結果をヴェーダ語の専門研究者によりチェックすることが必要である。そこでHellwigと共同で、web上でinteractiveに作業ができる、自動解析結果のチェック・訂正を可能にするシステムを構築した。このシステムの構築が、本研究課題の遂行を可能にした一つの大きな成果である。 このシステムを用い、ヴェーダ文献の正確な文法解析付きデータを作成し、Hellwigの運営するDigital Corpus of Sanskrit (DCS)に蓄積している。自動解析結果のチェック・訂正は伏見誠が行っている。ヴェーダ文献群に含まれる数多くの文献のうち、最古の散文文献(紀元前9世紀頃から編纂が開始されたと考えられる)マイトラーヤニー・サンヒター、カータカ・サンヒター、タイッティリーヤ・サンヒターのデータ作成に取り掛かり、大部分を完成させた。 作成したデータをもとに、文献の内部構造および文献間の関係を考察する計量分析を始めている。この研究とさらなるデータ作成は、国際連携研究「ヴェーダ文献における言語層の考察とそれを利用した文献年代推定プログラムの開発」に受け継がれる。
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Research Products
(5 results)