2023 Fiscal Year Research-status Report
グローバル・キャンパスの言語マイノリティ―多言語事情とアイデンティティを探る
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20K20701
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柴田 美紀 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (90310961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STAICOV ADINA 広島大学, 学術・社会連携室, 助教 (90864645) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | 留学生 / 高等教育の国際化 / EMI / 言語観 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
高等教育の国際化を目指し、日本政府は留学生を増やす努力をしている。その方略として、文部科学省は英語による(English-meidum instruction, 以下EMI)科目やプログラムの提供を大学に奨励している。一方で、もうひとつの国際化方略は、国内外の高等教育機関や語学学校での日本語教育の強化である。その意図は、日本語で学ぶ留学生を増やすことにあるが、さらに日本語で修学した留学生が卒業後に日本で就職することを期待している。このように、日本の国際化はふたつの言語政策によって推し進められている。しかし、母語に漢字を用いる留学生とそうでない留学生では、日本語学習に差が生じると予測できる。この点から上述のふたつの言語政策は漢字圏の留学生とそうでない留学生を二分化している可能性は否めない。そこで、本研究では留学生を中国語留学生と非中国語留学生に分け、その言語使用とアイデンティティについて検証した。 2023年度は、2021年10月から2022年2月にかけて58名の留学生に行ったインタビュー・データの分析を行った。分析結果は予測した通り、中国語留学生のほうが非中国語留学生より日本語能力の自己判断結果が高く、日常生活およびアカデミックな場面において日本語使用が多くなっていた。一方で、非中国語留学生は自己判断による英語力が高く、主たる使用言語は英語であった。また、ふたつのグループは異なる言語課題に直面しており、それに伴って、言語に関わる大学の方針および対応についても異なる認識、見解を持っていた。帰属意識、アイデンティティと言語の関わりについてもグループ間に違いが見られた。特に中国語留学生は結びつきが強く相互扶助の関係が見られた。一方で、両グループに共通した体験は、期待していた日本人学生と交流がほとんどないことである。分析結果は留学生の実状を明らかにしたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究代表者がサバティカルを取ったことから、インタビューデータの分析が順調に進んだ。また、質的研究ソフトMAXQDAの使用にも慣れたことから、コーディングがスムーズに行えるようになったことも、順調に進展した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を本にまとめて出版予定である。すでにプロポーザルを書き終え、出版社に提出している。また、研究成果の一部は2024年8月にマレーシアで開催されるAILA(International Association of Applied Linguistics)2024で発表予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度はインタビューデータの分析に集中し、人件費や学会発表等にかかる旅費は発生しなかったため、次年度使用額が生じた。その使用計画は、2024年8月にマレーシアで行われる学会参加および発表のために使用予定である。
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