2022 Fiscal Year Research-status Report
Influence and practical application of concepts of spatial order and fundamental living functions on regional planning in Japan
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20K20725
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堤 研二 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (20188593)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 空間秩序 / 基礎生存諸機能 / 地域計画 / 地域開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の骨子は、①空間秩序と基礎生存諸機能の概念を整理し、②それらが如何に日本の企画院等に影響を与えたのかを明らかにすることであり、また、③ケルン貨物駅跡再開発などを対象として、日本の事例との比較を通じて、国土計画・地域計画に関する思想・手法の日欧での異同を検討することである。 空間秩序に関してはドイツ語文献の探索を継続しながら、WEBサイトからのダウンロードを含め、関連文献の入手に努めた。また、空間秩序に関連する分野として、ル・コルビュジェの『アテネ憲章』に関する研究を参照し始めた。今年度は企画院や満鉄、その他の戦前機関などに関する重要古書も多数購入することができたが、順次内容を精査しているところである。これについては、次年度にアルバイト雇用などによるデータ整理を予定している。 年度中途まで、コロナ禍により、国内外の出張による現地調査や資料収集を断念せざるを得なかったために、当初の計画通りに研究を進めることはできなかったが、論文2本と専門分野の事典への2項目に関する論考が刊行された。さらに、市民向けの講座でポストアーバン時代の社会像に関する講演を行った。 国内では島根県隠岐の島町において1週間程度の地域生活機能と地域産業に関する現地調査を実施した。また、年度末の数日間ではあったが、スペイン・バスク地方の文化都市であるサン・セバスティアンへ出張し、食文化やその他の文化資本に基づく地域振興の調査を進めた。その中で、当地がIT産業と大学との連携を進めたり、食文化に関するカレッジの展開を行うなどして、新たな知識経済対応型の都市へとさらに発展しているさまを現認した。 これまでの研究成果に対して、年度末に學士會から会報への原稿依頼がきたので、その執筆の準備も始めたところであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響が続いたものの、当該年度に於いては国内外への出張が実現したために、あらたな視点等の気づきがあった。 また、比較的多くの古書を系統的に購入することができたために、とくに企画院などの戦前機関の活動の全体像を把握するための道が大きく開けた。ル・コルビュジェのほか、ポール・アンリ・ションバール・ド・ローなどの著作の検討も開始したので、生態学的な視点から人間活動の機能を観察する分析視角の検討を始めることができた。 複数の論文類の発表と講演発表なども行うことができた。あわせて、複数の研究者などとのワークショップを組織化して、2回の会合を開くことで、田園都市国家構想やイノベーションに関する新しい知見を得ることができた。 制限がある中でも、工夫しながら研究骨子に沿った情報の収集や知見の獲得ができたものと、自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度まで基金として繰り越しを行ったので、この2023年度が本研究の最終年度となる。 この最終年度には、成果の取りまとめを主たる業務とするので、情報収集・整理のための人件費に関する支出がメインとなる予定である。なお、近い将来における研究書(英文・単著)の刊行へとつなげる計画を有している。 2023年度にはスコットランドにおいて成果発表をするため、研究ワークショップへ参加予定であるが、旅行費用などの高騰のため、本研究予算を割くことはあまりできそうにないので、私費をはじめとした経費によってこうした出張を実現する。 研究のさらなる展開を期して、別途新たな外部資金(科学研究費を含む)獲得のための努力も行う。
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Causes of Carryover |
本研究の研究期間の大部分において、長期にわたるCovid-19の感染拡大の影響により、研究活動が大きく制限された。とくに複数回予定をしていた海外出張の実現が阻まれたため、110万円を超える次年度使用額が出る結果となってしまった。 既に今後の研究計画の欄に於いて記述しているが、基金の繰り越しによって、実質的には2023年度が本研究の最終年度となる。この最終年度では、成果の取りまとめ作業のための人件費・謝金関係を主たる使途として、有効に本研究経費を支出していく予定である。
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Research Products
(8 results)