2021 Fiscal Year Research-status Report
How the "Science" played a role in Eliminating Malaria in Yaeyama, Okinawa?
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20K20732
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
斉藤 美加 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90235078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 潤 琉球大学, 医学部, 教授 (70225514)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 八重山 / 蚊媒介性感染症 / 感染症対策 / レジリエンス / シチズンサイエンス / マラリア / 伝承知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマラリア撲滅の成功の鍵を握ったのはサイエンスの力であったという仮説を検証するため、聞き取り調査、文献調査、データ解析、ワークショップによる実践を行う。本年度は特にマラリア対策の歴史分析を行い、I期 戦前 II期 戦時中 III期 戦後から1950年まで IV期 1950-1956 移民マラリア V1957-1962 ウイラープラン実施期とし、III期IV期v期における自助・互助・共助・公助の役割と島嶼の視点から感染症の歴史とレジリエンスについて分析した。 1.<自助・互助・共助・公助の役割> Covid-19において注目を浴びた言葉に「自助・互助・共助・公助」がある。自助・互助・共助・公助の定義から捉え直し、八重山のマラリア史において、それらがどのように働いたのか、働かなかったのか、各時代で分析した。 2.<レジリエンス> 昨年より、科学的管理、順応的管理の両輪が感染症対策には必要ではなかったかと仮定し、分析を行っている。特に科学を理解するリーダーの不在期 IV期 を順応的管理期とし、この時代、一部の保健所職員が、自分たちの力で事態を乗り越えようと奔走し、他島からの移民と信頼関係を築いている。また、リーダーの決定を待たずに、他の島(行政)からの抗マラリア薬支援を取り付けるなど、狭い島民意識を超えた結びつきがみられ、レジリエンスを獲得していったと考える。 3.<史実の実証―現代に生かす>Covidー19パンデミックに象徴される感染症の時代にあり、感染症対策の歴史を現代に伝えることの意義は大きく、2022年、ゼロマラリアから60周年を記念し、研究アウトリーチ活動の一貫で、石碑や説明板の設置を計画している。すでに、小学校での平和学習や、各種イベント、八重山のマラリアの歴史の絵本づくりなどを行い、歴史を伝えていく活動を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
八重山のマラリアの歴史におけるサイエンスの役割、自助互助共助公助の果たす役割、感染症とレジリエンスに関する研究を行い、学会発表および論文化を行なった。
現在、Covid-19パンデミックの中、感染症対策におけるサイエンスの重要性、リーダーの意思決定、行動変容、強制力について報告し、今年度は、さらに自助・互助・共助・公助の役割、レジリエンスについて分析した。 Covid-19パンデミック禍にあり、なまなましい経験をしていく中で、過去の感染症について、深く知り、また、見えないものが疑問点として浮かび上がり、研究を後押ししてくれたことが大きい。また、研究アウトリーチ活動においても、地元の協力や理解が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年八重山ゼロマラリア60周年の節目にあたり、60周年記念事業を行う。具体的には石碑・及び石碑説明板の設置を研究アウトリーチ活動の一環として行い、地域の住民とともに感染症に強いまちづくりにどのような影響を及ぼすかの介入を行う。具体的には感染症の伝承知や知恵を地域に根ざし、次世代につなげ、世界に発信する活動が地域のレジリエンスや地域活性化、平和活動に貢献できるかの実践研究を行なっていく。
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Causes of Carryover |
Covid-19パンデミック禍において、外国(米国)における調査ができなかったため、旅費と調査分が繰越となった。 ①今年度も米国での調査が未確定要素が強いこと。②沖縄県公文書館で、多くの米軍関係書類の閲覧や研究が可能だったため、進展があった。 以上から、今年度は総括、成果発表、八重山での研究アウトリーチ活動を行う。
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Remarks |
学校周辺ボウフラマップ作成のための現地調査アプリ作成 日本語版、英語版、タガログ語版 2022年
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Research Products
(16 results)