2021 Fiscal Year Research-status Report
革新的アプローチによる植生景観と土砂災害リスクの統合評価
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20K20736
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 仁 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (00709628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手代木 功基 摂南大学, 外国語学部, 講師 (10635080)
内山 庄一郎 国立研究開発法人防災科学技術研究所, マルチハザードリスク評価研究部門, 特別研究員 (30507562)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 植生回復 / 草地 / 阿蘇山 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に行った研究は、以下のようにまとめられる。
植生と土砂災害との相互関係を明らかにするために、近年頻繁に土砂災害が発生した九州・阿蘇山を対象として、過去の植生利用、斜面崩壊発生地の特徴、斜面崩壊跡地での植生の回復状況を分析した。阿蘇山周辺地域では、これまでに草地(放牧や牧草の刈取り)や人工林、自然林等、様々な形態で植生が利用されてきた。本年度は特に、高頻度のドローンと衛星画像、またハイパースペクトル画像を用いて、2012年豪雨と2016年熊本地震で発生した斜面崩壊地での植生の回復状況を明らかにした。対象としたのは、2012年豪雨(n = 250)と2016年熊本地震による斜面崩壊地(n = 20)である。また斜面崩壊発生前後の、2010~2021年に撮影されたRapidEye衛星画像とPlanet 衛星画像を使用した。使用した衛星画像は、Level-3B(大気補正済みオルソ画像)であり、合計80枚である。 崩壊跡地では、その後NDVIは徐々に上昇し、2021年8月には、草原と比較して、2012年豪雨の崩壊跡地で平均94%の植生の回復が判明した。また2016年熊本地震の崩壊跡地では、植生が平均87%程度回復した。特に、阿蘇山の崩壊跡地は約10年程度で草原に戻ることが、高頻度のドローン画像と衛星画像から時系列で詳細に明らかになった。10年という期間は、国内外の他地域での崩壊跡地の植生回復と比較しても、速い回復であった。この結果は、阿蘇山で頻発する斜面崩壊と草地との関係や、草原の生態系の観点からも重要と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症により、一部研究計画に遅れが生じたが、繰り返す斜面崩壊と植生の回復との関係が明らかとなってきた。また斜面崩壊地と草地の分光反射特性を分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、これまでの研究を取りまとめる。また引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を注視し、感染予防を徹底し、安全に最大限配慮する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大および天候不順により、一部現地調査が実施できなかった。令和4年度に、感染症対策を徹底して、現地調査を行う。
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