2022 Fiscal Year Research-status Report
The inheritance of lives in the Hansen's disease sanatorium in Japan: How we can archive the social and historical facts while protecting personal information
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20K20737
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田原 範子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (70310711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩谷 洋史 姫路獨協大学, 人間社会学群, 講師 (00508872)
伊地知 紀子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40332829)
白石 壮一郎 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (80512243)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 生の記憶と記録 / 次世代への継承 / 社会性と公共性をもつ質的データ / プラットフォーム構築 / 松丘保養園の将来構想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①ハンセン病元患者、ハンセン病療養所入所者たちの生の軌跡を、療養所に保存されているデータのアーカイヴ作業をとおして若い世代と共有すること、②個人情報の保護と同時に貴重な資料の社会性と公共性を確保するためのアーカイヴ・ルールの確立とアーカイヴ・システムの設立を試みることである。 今年度は、ハンセン病を経験した人びとの記憶や記録を継承する全国的な方法・方針を学ぶために、ハンセン病にかかわる多様な人びととの交流を促進した。長島愛生園訪問(4月23日)、ハンセン病市民学会参加(6月11日12日)をとおして、各園の学芸員よりアーカイヴ作業の実態を学ぶことができた。また、松丘保養園の写真を展示したコミテコルベールアワード2022(東京藝大)を訪問し(10月15日16日)、写真家木村直氏と松丘保養園入所者と交流することで、生活の場としてのハンセン病療養所という視点の重要性を示唆された。 松丘保養園の将来構想を考えるために、オンラインで松丘保養園自治会会長の聞き取り調査(4月5日)を実施し、風土形成事務所の『国立療養所松丘保養園の生活環境グランドデザイン作成事業委託 報告書』を作成した廣瀬俊介氏を講師としてオンライン講演会を開催(6月27日)した。11月25日に廣瀬氏、松丘保養園自治会長、写真家木村氏と共に、松丘保養園の将来構想を考える会を開催し、今後もこうした場を「ふきのとうの会」として継続することを決定した。また弘前で入所者を交えた対面での研究交流会を実施することができた(1月27-29日)。 研究協力者の澤田大介氏は、オンラインミュージアムトーク2022「松丘保養園のあゆみ」を実施した(11月19日)。 2023年度のアウシュヴィッツ訪問に向けてポーランドの社会的歴史手背景を学ぶためのオンライン講演会(講師:家本博一、6月3日)を実施し、訪問先と連絡調整中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いまだ松丘保養園に訪問して実際の史資料を閲覧することはできないが、研究交流をとおして、風土デザイン作家、写真家、陶芸家など他分野の人びとと出会うことができたことで、研究遂行のための新たな視角を得ることができた。 当初計画では、史資料のアーカイヴ化を中心に考えていたが、松丘保養園の自然風土とそこに生きる人びとの生活を含めた将来構想と次世代への継承について領域が広げる必要性に気づくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
史資料のアーカイヴ化と次世代への記憶と記録の継承にかかわる本研究に、生活という視座を中心に据えて、研究を推進していく。生活の場として療養所を捉えるとき、アーカイヴ化のためのプラットフォームづくりに参入できるステークホルダーは広がりを見せる。 具体的には、松丘保養園の未来像について、入所者の人びとの意向を、アンケート調査と聞き取り調査で明らかにするとともに、近隣住民と松丘保養園退所者の人びとからも、松丘保養園地域一帯についての意見を広く募ることを考えている。 青森における松丘保養園の存在が知られていないという事実に基づき、存在を伝えるために弘前大学の資料館における松丘保養園の企画展示を実施する予定である。 また当初の計画どおり、記憶の継承を試みるアウシュヴィッツ博物館を訪問し、研究交流を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症が流行したため、当初の計画で予定していた国内外における生の記憶・記録の継承を試みるミュージアム(アウシュヴィッツ博物館、キガリ資料館)との研究交流が実施できなかったためである。
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Research Products
(4 results)
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[Book] Bouncing Back: Critical Reflections on the Resilience Concept in Japan and South Africa2022
Author(s)
Maho Araki, Tamara Enomoto, Kolawole Gbolahan, Toru Hamaguchi, Itsuhiro Hazama, Minga Mbweck Kongo, Masayuki, Komeyama, Kharnita Mohamed, Gaku Moriguchi, Zuziwe Msomi, Francis B. Nyamnjoh, Berni Searle, Marlon Swai, Noriko Tahara, Toshiki Tsuchitori, and Kiyoshi Umeya
Total Pages
438
Publisher
Langaa RPCIG
ISBN
9789956552238