2021 Fiscal Year Research-status Report
Development research on Rhythm and Dance Notation: A Case Study of Samba de Roda in Brazil
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20K20739
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
林 夏木 四国大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (20794481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
輪島 裕介 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50609500)
細谷 洋子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (60389856)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 舞踊記譜法 / リズム舞踊譜 / 舞踊民族誌 / サンバヂホーダ / サンバ / ブラジル / アフロブラジル舞踊 / アフリカン・ダイアスポラ・ダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は主に2つの研究活動を中心に行なった。1つは動画制作、もう1つは聞き取り調査である。動画制作は、SNS上に投稿されていたサンバ・ヂ・ホーダの動画の使用許可を得て、この動画で演奏されている音楽のリズムパターンと、ダンサー5名のステップとの関係性を可視化する2次元動画の制作を、四国大学生活科学部人間生活科学科の上野昇准教授の協力を元に行なった。また聞き取り調査では、対面およびオンラインを併用し、計5回実施した。 聞き取り調査は2021年8月から12月の期間に、7名を対象に行なった。1回目は、奄美大島在住で日本の民俗舞踊研究者である進藤貴美子氏(北海道教育大学名誉教授)、2回目は米国のアフリカン・ダイアスポラダンス研究のイヴォン・ダニエルPhD(スミスカレッジ名誉教授)とサンバダンサー兼研究者であるアウグスト・ソレダージ(フロリダ大学准教授)、3回目は京都でアフロブラジル音楽を実践する3名、4回目および5回目はブラジル・バイーア州ヘコンカヴォ地域内のカショエイラ在住で、現在も3代に渡りサンバ・ヂ・ホーダを実践し、サンバ・ヂ・ホーダのUNESCO人類無形文化遺産登録に多大なる貢献を果たしたドナ・ダウヴァ(90歳女性)の孫であるアニー・フレイタスに実施した。 舞踊研究者からは、民俗舞踊の普遍性に関する情報、舞踊譜については対象者を明確にして開発を進めること等の意見が得られた。また、サンバ・ヂ・ホーダ実践者からは、ステップの表示が非常に重要であること、またその理由として、サンバ・ヂ・ホーダの踊り方であるサンバ・ミウヂーニョでは爪先から踵までをしっかり地につけて踊ることによる霊的な意味等の知識を得られた。これらの調査結果は考察と共に、第23回日本スポーツ人類学会大会(2022年3月)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたブラジルでの現地調査は2年間実施できなかったものの、インターネットと動画視聴サイトの発達によってサンバ・ヂ・ホーダの貴重な動画を入手することができたこと、またそれによって、サンバ・ヂ・ホーダのリズムパターンとステップの分析と、その分析を元にリズムパターンとステップの関係性を可視化する映像の制作が可能になったことは大きな収穫であった。 また、国内の研究者への対面での聞き取り調査に加え、オンラインの利用により国外の研究者および実践者への聞き取り調査も実現し、制作した映像へのフィードバックを得られたことで、次の調査段階へとステップが進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究課題の最終年度となるため、リズム舞踊譜を考案することを目標とする。そのため、さらに多くの研究者および実践者への聞き取り調査を実施し、情報を収集および集約し、サンバ・ヂ・ホーダに最も適切な舞踊譜の開発へと導きたい。また、舞踊譜の表記方法は従来のアナログ方式なのか、現代に見合ったデジタル方式なのかについても議論を深めていきたい。デジタル方式とするならば、専門の研究機関あるいは民間企業の協力を得る必要がある。その可能性も視野に入れ、調査を進める意向である。また、これまでの研究成果を論文として学会誌等に投稿し、引き続き学会での発表も実施する。
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Causes of Carryover |
2021年度は引き続き感染症の拡大によって、ブラジルでの現地調査の実施に至らなかったため、前年度に引き続き旅費の使用がなかったことで、多額の次年度使用額が生じた。2022年度の8-9月での現地調査を計画しているが、再度、実施が難しい場合は、再度、オンラインによる聞き取り調査の実施に代替し、舞踊譜のデジタル方式の製作費等に充当することを検討している。
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Research Products
(3 results)