2022 Fiscal Year Research-status Report
バイアス分析の手法によるドイツ領アフリカ植民地のグローバル・リーガル・ヒストリー
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20K20740
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 正樹 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20206931)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | ドイツ / 植民地 / アフリカ / 法 / 慣習 / 法学 / 比較法 / コーラー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ようやく海外渡航を行うことができ、ドイツにおいて調査を行った。ベルリンの連邦文書館(リヒターフェルデ館)において、第一次大戦前ドイツの東アフリカ植民地(タンガニーカ)について、植民地内の出先行政官署とダルエスサラームの植民地政庁との間で交わされた文書を調査し、植民地法制度や特に法制度の運用に関わる文書を複写・収集した。植民地行政官が現地の慣習をまとめた報告書や、狩猟に関する規則の運用を示す文書など、興味深い材料を発見・収集することができた。また、ベルリンの州立図書館(ウンター・デン・リンデン館およびポツダム広場館)において、関係文献の閲覧と複写収集を行った。植民地に関する同時代の言説・イメージの広がりや、植民地法制をめぐる法学的研究成果や議論について、理解を深めることができた。 その他、スイス・チューリヒで開催されたドイツ法制史学者大会に参加し、ドイツ語圏学界における植民地法制への関心や研究状況をリサーチするとともに、今後の研究方向について他の研究者と議論した。 また、ドイツ・フライブルク大学において、フランク・シェーファー教授、ヴォルフガング・カイザー教授をはじめとするドイツ人研究者と科研テーマおよび関係するトピックについて意見を交換した。 海外渡航後は、収集した史料・文献の解析をすすめるとともに、ドイツ以外の西洋諸国による植民地支配との比較も考慮しつつ検討を継続した。また、植民地現地法の調査・研究に携わったドイツの法学者、特にヨーゼフ・コーラーについて、ドイツ学界における近時の研究成果も参照しつつ、理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の世界的拡大のため、海外渡航が事実上困難な時期が長く続いた。今年度に入ってようやく海外での調査と意見交換を遂行したものの、これまでの遅れを完全に挽回するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費の一部を次年度に繰り越し、もう1年研究を続行する。来年度に再度海外渡航を行って、追加的に史料・文献を収集する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により、海外渡航が不可能な時期が続いたため、。研究計画の遂行に遅れが生じた。次年度には、今年度に続いて再度海外に渡航し、資料と文献の調査・収集をすすめる。
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