2023 Fiscal Year Research-status Report
The Possibility of Combining Human Rights Theory and Scientific Knowledge Theory in Establishing Legal Rules for Medical Intervention-genome editing-for human embryos.
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20K20745
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
石井 哲也 北海道大学, 安全衛生本部, 教授 (40722145)
土屋 仁美 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (80727040)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト胚 / 医科学技術の進展と人権 / 生命倫理 / 尊厳 / フランス生命倫理法 / ヒト胚へのゲノム編集 / 研究目的の新規胚作成 / ヒト胚を用いた研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト胚への医学的介入に関して,人権論および科学的知見のそれぞれの観点から検討し、ヒト胚の法的地位をより明らかにする事を目的としている。ヒト胚の法的地位は、2018年のヒト胚に対するゲノム編集の実施以前は、主として中絶における女性の私的自由対胚及び胎児の生命権との関係、ヒト胚を科学研究の素材として使用すること、さらにはヒト胚を研究目的で作成することのそれぞれの局面において位置づけられてきた。しかし、2018年以降は、ヒト胚の「人」としての権利保護がより重要な課題となっている。こうした状況にもかかわらず、日本においてはその各局面におけるヒト胚の法的地位が明らかにされていない状況が継続している。特に、いち早く研究目的のヒト胚作成を認めている数少ない国である日本においては、ヒト胚の「人」としての法的性質を明らかにすることは喫緊の課題と考えられる。 2023年度までの研究実績は、2020年から2022年まで『時の法令』誌上で連載した「生命への介入、その法的課題」において,医科学の進展に伴うヒト胚への介入や生命に対する操作において,実定法の基準による科学に対する制約は、常に後追いになりがちであること、また医科学の進展によるヒト胚や生命に対する介入を制約する、あるいは限界を設けるには、いまだ抽象的ではあるが「人間の尊厳」という人権が中核となることを明らかにした。 2023年度は、ヒト胚だけでなく、ヒト胚の尊重の根幹となる「生命」、あるいは「生命の萌芽、潜在的な生命」、生命を産みだす「人」の「生殖に対する権利」について検討し、リプロダクティブライツ、および「身体の侵襲を受けない自由」の法的な確立が、憲法上「個人の尊重」の解釈から可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅延した主たる理由は、コロナ禍による国際的な研究交流に不都合が生じたことである。本研究は、ヒト胚への医学的介入に関して,人権論および科学的知見のそれぞれの観点から検討し、ヒト胚の法的地位をより明らかにする事を目的としている。科学技術に関わる検討は、科学の国際性から日本だけで法規範を検討するのみでは実効性が不明確である。そのため、国際的な研究交流が必要となる。しかし、2020年からのコロナ禍によりシンポジウムなどの研究交流が中断したため当初の予定よりも遅れる結果となった。2023年度は、主として日本における「ヒト胚への医学的介入」の現状を明らかにする研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究結果では、日本において、2022年2月1日に総合科学技術・イノベーション会議が公表した「『ヒト胚の取り扱いに関する基本的考え方』見直しに係る報告(第三次)ー研究用胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用等についてー」は、以前の基準を変更した。胚の作成を①ゲノム編集技術等を用いた遺伝性・先天性疾患に関する基礎的研究、②核置換技術を用いたミトコンドリア病に関する基礎的研究の二つの場合において、胚作成に関する科学的妥当性、および社会的妥当性があるとして認めた。 そして留保事項として、「ヒト受精胚の尊重の原則を十分に踏まえ、人間の道具化・手段化の懸念をもたらさないよう、適切な歯止めを設けることが求められることから、ヒト胚を用いる基礎的研究のうち、特に研究用新規胚を作成して行わなければ実施することができないものに限るべき」とし、そのチェックとして.研究計画の確認や指針などの整備を求めている。 しかし、国際的な法制度の基準を比較すると、研究目的でヒト胚の作成を認める国は限定されており,日本はヒト胚作成に関して緩やかな基準の国に分類されるため、より厳格にヒト胚の保護を検討する必要がある。 2024年度は,上述の報告書の言う「ヒト受精胚の尊重」とはどのような人権の保護であり、どのような基準によって「尊重」を保護するための科学のあり方を検証するのかについて,2021年の生命倫理法の改正によって一定のヒト胚への介入を認めたフランスのヒト胚保護のための手続きを明らかにし、人権保護と科学的知見の関係について考察する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍で延期となっていた国際シンポジウムの実施が、当初報告予定だった外国の研究者が来日できなくなったため、シンポジウム開催を2024年度に延期し,その費用としたため。 2024年度の使用目的は、年度末までにヒト胚に対する医科学の介入をめぐる法と科学的知見に関するシンポジウムを開催する際の外国人研究者の出張旅費および準備費用である。
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Research Products
(8 results)