2020 Fiscal Year Research-status Report
Procedural Justice in Conflict Resolution: Empirical Research on the Acceptance of NIMBY
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20K20750
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (00650649)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 手続き的公正 / 迷惑施設 / 鉱山紛争 / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、予備調査のために海外実地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国際的人の往来の規制のため、それが不可能となった。しかしながら、いくつかの点で代替的な活動を行い、それによって研究を進めると共に、ある程度の実績をあげることができたと言える。 第1に、調査対象地として予定しているペルーにて鉱山プロジェクトを有する日系企業とコンタクトをとり、①今後現地にて調査を行う際に有望なコミュニティ支援について情報提供を受けること、②情報共有しながら鉱山プロジェクトに関する住民の受入れについての調査を行う可能性について一般的な協力を得ること、③南米ペルーやボリビアにおける政治状況、歴史的発展、鉱山プロジェクトの受入れについてレクチャーを行い、それについて関係者からのフィードバックを得ることについて合意をすることができた。 第2に、ペルーの国立カハマルカ大学と国立サンマルコス大学にて行われた特別セミナー(それぞれ12月12日と1月22日)に参加し、日本におけるCOVID-19対策について講演を行うと同時に、ペルー現地でのCOVID-19の感染状況について情報・意見を収集した。これらは直接本研究に関わるものではないが、現地の大学とのネットワークを広げ、今後の現地調査での協力を仰ぐ体制を構築できたし、コロナ禍での現地状況について有意義な情報を得ることができた。 第3に、ボリビアの中央政府と地方政府の関係についての論文を完成させた。これを通じて、ラテンアメリカ、特にボリビアやペルーといったアンデス諸国における地方分権化と政治システムの変化についての知見を集め、さらにはそれをコモディティ・ブームと結びつけたときに見られる政治社会現象として捉えることで、今後の研究を進める理論枠組みの一部を発展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予備調査のために海外実地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国際的人の往来の規制のため、それが不可能となった。しかしながら、いくつかの点で代替的な活動を行い、それによって研究を進めると共に、ある程度の実績をあげることができたと言える。 第1に、調査対象地として予定しているペルーにて鉱山プロジェクトを有する日系企業とコンタクトをとり、①今後現地にて調査を行う際に有望なコミュニティ支援について情報提供を受けること、②情報共有しながら鉱山プロジェクトに関する住民の受入れについての調査を行う可能性について一般的な協力を得ること、③南米ペルーやボリビアにおける政治状況、歴史的発展、鉱山プロジェクトの受入れについてレクチャーを行い、それについて関係者からのフィードバックを得ることについて合意をすることができた。 第2に、ペルーの国立カハマルカ大学と国立サンマルコス大学にて行われた特別セミナー(それぞれ12月12日と1月22日)に参加し、日本におけるCOVID-19対策について講演を行うと同時に、ペルー現地でのCOVID-19の感染状況について情報・意見を収集した。これらは直接本研究に関わるものではないが、現地の大学とのネットワークを広げ、今後の現地調査での協力を仰ぐ体制を構築できたし、コロナ禍での現地状況について有意義な情報を得ることができた。 第3に、ボリビアの中央政府と地方政府の関係についての論文を完成させた。これを通じて、ラテンアメリカ、特にボリビアやペルーといったアンデス諸国における地方分権化と政治システムの変化についての知見を集め、さらにはそれをコモディティ・ブームと結びつけたときに見られる政治社会現象として捉えることで、今後の研究を進める理論枠組みの一部を発展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新型コロナウイルス感染症の状況を注視しながら、現地調査の可能性を探る。もし2021年度中に現地渡航が可能とならない場合は、現地調査のタイミングを翌年度以降に延期する可能性を検討する。その場合、条件が整い次第、現地調査を行うことができるように、重要文献をレビューし、理論枠組みや調査・分析デザインを確立しておく。具体的には次の活動を行う。 第1に、南米、特にペルーにおける鉱山紛争や鉱山開発をめぐる住民意識についての研究をレビューし、主要な仮説をまとめた論文を公刊する。これについては2020年度中から執筆作業を進めている。ペルーについては鉱山紛争やそれに起因する鉱山開発の「失敗」が頻繁に見られることから、国際的な研究も盛んであり、丁寧なレビューを行っていく必要がある。 第2に、ペルーや南米他国で鉱山分野に投資する日系企業に対して鉱山紛争に関するレクチャーを行い、上記のレビューの内容が実社会においても意味を持つものか、日々鉱山開発の現場に携わる専門家の目から見て論理的・経験的に意義を持つものかをプリテストする。また、鉱山企業や現地の大学とも継続的にコンタクトをとり、現地調査の可能性を常に十分なものとしておく。 第3に、調査・分析デザインについて質問票を作成する段階まで練り上げ、Open Science Frameworkのようなプレレジストレーションに登録できるところまで、仮説・調査デザイン・分析手法を具体化させる。いったんプレレジストレーションを行うと、その後に仮説・調査デザイン・分析手法を際修正することは通常認められないが、研究成果を国際ジャーナルに投稿する場合にはそれが基礎条件となる場合もあるため、慎重かつ丁寧に準備を進める。名古屋大学では質問票についての倫理審査委員会は制度化されていないが、代替的手段も検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた南米ペルー現地での予備調査が実現せず、その代わりの活動を行ったが、いずれもオンラインで行われたため、実質的な支出が発生しなかった。今後、予備調査および本調査による支出が予定されているため、当初の想定予算を次年度以降に繰り越し、新型コロナウイルス感染症がワクチンによって抑えられるなど状況が改善した暁に、直ちに予備調査を実施できるように準備を進めたい。その場合、繰り越した予算を当初の予定通りに予備調査に用いることとする。
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Research Products
(3 results)