2021 Fiscal Year Research-status Report
Procedural Justice in Conflict Resolution: Empirical Research on the Acceptance of NIMBY
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20K20750
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (00650649)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 手続き的公正 / 迷惑施設 / 鉱山紛争 / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に続き、さまざまな点で研究課題の遂行が遅れる状況となった。現地調査が依然として難しい状況が続き、そのために理論面での研究を進めながら、調査会社や所属研究科での体制構築に注力することとなった。しかし、地道に状況改善の努力を続けていることから、いくつかの点で進展も見られており、2022年度にはサーベイ実施が可能となる見通しである。2021年度の主な実績は以下のとおりである。 第1に、ペルーにおいて鉱山開発に従事する日系企業とのネットワーク構築を行った。具体的には、2021年3-4月にかけてラテンアメリカにおける資源開発と社会関係について8回にわたる講演を行い、意見交換した。その際、利益相反があるため無償で行い、現地及び当該企業との関係を通じて知り得た情報の取り扱いについて、保秘の観点からの契約を結んだ。 第2に、ペルーでの鉱山開発に関連する社会紛争について、理論研究を進め、過去のフィールドワークの結果や社会紛争の統計データを用いて研究論文として発表した。さらに、研究集会で発表し、ディスカッションを行った。 第3に、サーベイをオンラインもしくは対面で行う可能性について、考えられる全ての可能性を検討した。オンラインでのモニターを提供する会社についてはモニターが首都の上中級社会層に限られ、サンプルサイズも極めて限定的であることが判明し、実現が難しいことが明らかとなった。対面でのサーベイについては、現地での新型コロナウイルス感染症の拡大状況から困難であるとの回答を得た。そのため、現地での感染状況が改善することを待つこととした。 第4に、サーベイ実験を行う上で必須条件の1つである研究倫理審査について、所属研究科内で働きかけ、審査体制を新設するための調整・準備作業を行った。 以上より、2021年度はいくつかの点で困難を抱えたが、2022年度には調査開始ができる見込みが得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題を進める上での障害が2つある。 第1に、昨年度に続き、本年度も新型コロナウイルス感染症の拡大防止を理由とした国際的な人の往来の抑制政策のため、海外実地調査を行うことができなかった。また、ペルー全土を対象としたサーベイを実施する予定であったが、オンラインサーベイのモニターが限られていること、現地でのサーベイを受託してくれる調査会社が未だ対面での調査を可能と判断していないことから、実施困難な状況にあった。 第2に、本研究課題ではサーベイの途中でランダムに提示内容を変える実験的操作を取り入れる予定であるが、研究の内容を一部秘匿するそうしたサーベイ実験では、調査実施前に研究倫理審査を受けることが必要である。とりわけ、審査承認が得られていない研究については、国際トップジャーナルへの掲載が困難となることが知られている。本研究は単独研究であるため、研究代表者が所属する名古屋大学国際開発研究科にて研究倫理審査を受ける必要がある。しかし、名古屋大学国際開発研究科では、これまで研究倫理審査を実施する体制が整っておらず、名古屋大学の複数部局をまたぐ研究倫理審査体制も発足したばかりで、国際開発研究科は参加していない。そのため、まずは国際開発研究科の所属教員が利用可能な研究倫理審査手続きを整備する必要がある。 ただし、これらはいずれも解決されつつある。【今後の研究の推進方策】で述べるように、上記の2つの障害については2022年4月時点で概ね解決される目処がついている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】で述べた2つの課題について、2022年4月現在、早期に解決される予定がある。まず現地での調査については、IPSOSペルーという調査会社が対面でのサーベイを実施可能であるとの連絡を寄せており、すでに調査内容に沿った概算での見積書を入手している。今後、調査内容を確定し、研究倫理審査について承認を得た上で、最終見積利を依頼し、現地渡航の可否に関わらず調査を開始する予定である。 また、研究倫理審査については、2021年後半に研究科教授会にて設置準備委員会を立ち上げ、研究代表者もその一員となって研究倫理に関するルールと審査体制について原案を作成し、2022年4月の教員会議で概ね了承を得ている。そのため、2022年5-6月には研究倫理審査のシステムが立ち上がり、制度面での体制が確立する予定である。 以上に基づいて、2022年はサーベイを実施する予定である。8-9月までに調査計画と質問票を確定し、研究倫理審査を受けた上で、9-10月に見積もりを再取得し、11-12月に調査実施することを想定している。また、見積もりの内容及び計画によっては、現地渡航の上で現地大学との協力体制を構築し、2022年度もしくは2023年度(期間延長)にサーベイを実施することも考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大が続いており、国際的な人の往来が厳しく規制されていることから、南米ペルー現地での予備調査が実現しなかった。また同様に新型コロナウイルスの感染抑止のため、現地での対面サーベイについて調査会社が引き受けられない状態が続いた。さらに、サーベイ実験を開始する前に必要とされる研究倫理審査について、所属研究科での制度が整っていなかった。こうしたことから、サーベイ実施に必要な諸条件を整える必要があった。 【今後の研究の推進方策】で述べたように、これらの課題は解決しつつあり、2022年度にはサーベイ実施が可能となる見込みとなっている。そのため、着実に実施準備を進め、2022年度中に当初予定していた当年度までの研究活動を進めることを予定している。
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Research Products
(5 results)