2021 Fiscal Year Research-status Report
Financial Innovation "Fintech": its function, risk, and institutional design
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20K20751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 慎一 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00221531)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | フィンテック / 金融システム / 銀行 / 金融機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)フィンテックの登場による金融の新しい機能とリスク、(2)フィンテックの拡大に伴った新しい金融システムの制度設計、の2つのテーマに焦点を当てた理論的・実証的分析を行う経済学の研究グループを形成すると同時に、他分野の研究者、政策当局者、実務家とも意見交換を行うことを通じてその政策的インプリケーションを導出することである。研究目的を達成するため、本研究では、上記テーマに対応する2つの研究グループをそれぞれ組織し、研究を行った。第1のグループでは、金融の新しい機能とリスクするため、IT事業者が既存の金融ネットワークに中間事業者として介在してビジネスを展開する仕組みと、「ブロックチェーン」とよばれる技術を駆使して独自に分散型ネットワークを形成する仕組みをそれぞれ考察した。第2グループでは、フィンテックが拡大するなかで、銀行を中心とした従来の金融制度をどのように再構築すべきかを分析した。長い間、銀行などの金融機関は、決済、期間変換、情報生産、取引費用の節約、リスク分散などさまざまな面の機能を持つとことで、経済の資金の流れをより効率的にする中心的な役割を果たしてきた。しかし、ITの急速な進歩によって、他業種の事業者が、より少ない費用で便利な金融サービスを提供する動きも生まれている。そうしたなかで、金融業の機能や規制のあり方を、従来とは全く異なる視点に立って分析したことは挑戦的研究としての意義は極めて大きいといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者、政策当局者、および実務家を交えた研究会やヒアリングを積み重ねており、着実に研究成果が生まれている。コロナ禍で、当初予定していた海外の研究者を中心に対面での議論はできていないが、オンラインを活用するなど代替的な手段を用いて、議論を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
金融業が100年に一度の大きな変革期を迎えているなかで、金融論やその関連の分野において、従来型の金融機関のみを対象とした経済分析は今後時代遅れになることは確実で、これまでとは全く異なる新しい枠組みで金融機関の機能や規制のあり方を分析することは急務の研究課題である。しかし、金融システムは各国固有の事情によって大きく異なるため、日本の実態に即した研究を推進することが不可欠である。このため、今後は、このような日本の実態に即した新時代の金融機関の機能や規制のあり方に関する本格的な経済分析をさらに推し進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた海外研究者との対面での打ち合わせや研究レビューが延期となったため。
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