2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploring mechanisms that create innovation by utilizing excess resources of the incumbent firms
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20K20754
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
青島 矢一 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (70282928)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーション / スタートアップス / CVC / 既存大企業 / ベンチャー投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
定量分析に関しては、Capital IQのデータベースをもとに日米中における資本取引のデータベースを作成して、各国におけるベンチャー投資の推移を明らかにした。この分析からは、(1)日本においてベンチャー投資が急速に増大していること、(2)しかし1件あたりの金額が小さいこと、さらに、(3)非金融系事業会社による直接投資もしくはCVCを介した投資が日本では顕著に多いことが明らかになった。 次に、サンプルを日本の上場企業に絞って、事業会社がベンチャー投資を行う動機の分析を行い、国際学会での発表を行った。この分析からは、(1)売上成長の鈍化がCVC介したベンチャー投資を増やすこと、(2)フリーキャッシュフローがベンチャー投資と正の関係にあること、(3)影響力のある同業他社によるベンチャー投資が影響すること、(4)成長志向の強い企業ほどベンチャー投資を行っていることがわかった。 さらに、既存研究のレビューを深めるとともに、Eikonのデータを使った新たな国際比較のデータベース構築に着手した。 定性分析に関しては、日本の大手企業とベンチャー企業とのコラボレーションの事例として、構造タンパク質素材のベンチャー企業であるスパイバーの事例研究を行った。そこでは大企業出身のOBによるノウハウの移転が鍵となっていたことがわかった。さらに、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の成功例として旭化成CVCの事例研究を行い、CVCの成功にとっては親会社とベンチャーコミュニティという2つの異なる世界をいかに橋渡しできるかが重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたINITIALのデータは日本国内に限られており、国際比較を行うには不十分であると判断し、Capital IQとEikonのデータを主として使用する形に変更したが、定量分析自体は計画どおり進んでいる。INITIALは日本企業のデータを保管するために使用している。定性分析は、2社の事例を完成させることができ、当初予定したよりも、進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ベンチャー投資のデータは、Eikonのデータを使うことに方針転換し、それに、Capital IQの財務データとObis Patentの特許データを紐付ける形での分析を進めることにした。またINITIALのデータは日本企業の情報を補完するために使用する。データベースが確定したことによって、今後は、国と産業の範囲を広げた分析を進める。また事業会社とベンチャー企業とのコラボレーションをいくつかのパターンに分類して、それらに適合する事例の分析を進める。
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Research Products
(2 results)