2021 Fiscal Year Research-status Report
Developing a System for Reading Qualitative Attributes of Firms from Financial Data with Pettern Recognition Method
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20K20755
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小沢 浩 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (40303581)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 財務諸表 / パターン認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は損益計算書と貸借対照表に記載されたデータから企業の属性を判別する技法の開発を目指しており、その最初の段階として業種の識別に挑戦している。本年度は、自動車、商社、製鉄、電力、医薬品、製紙、百貨店、家電の業種の識別を試みた。流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益の各項目を、(総資本+収益)に対する比率で規準化したものをRT法を使って識別した。なお、1966年から1977年のデータを単位空間として、1978年から1982年のデータを信号空間とした。 結果として、自動車を単位空間とした識別率は、自動車100%、商社94%、製鉄25%、電力0%、医薬品0%、製紙35%、百貨店47%、家電0%であった。商社を単位空間とした識別率は、商社52%、その他の業種で100%であった。医薬品を単位空間とした識別では、医薬品で60%、その他の業種で100%であった。百貨店を単位空間とした識別率は、百貨店で20%、自動車97%、その他の業種で100%であった。それ以外を単位空間とした分析では単位空間の同業種と異業種の区別ができなかった。 結果が思わしくなかった原因は、分析方法の問題というようりは、年数の経過とともに業態が変化して財務諸表の項目間の比率が変化していることが理由と思われる。今後は、業種に対して中立的な単位空間や、年数の経過に伴う業態の変化のパターンを織り込んだ単位空間をつくることを試してみたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
財務諸表上の数値を企業規模に関わらず比較するための規準化の方法については、いろいろと試すことができた。また、当初考えていたデータの組み合わせについても全て試してみることができた。ただし、財務諸表から企業の業種を特定するには、未だ精度が十分ではない。理由として、業種が同じであっても、期間が異なれば財務諸表の特性が変化する可能性が認められた。今後は、この問題の解決を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
同一業種であっても年数の経過とともに業態が変化するために、同一業種を同一業種として識別できないケースが多かった。このことを解決するために、第一に、全業種の平均値や架空の数値から構成される業種中立的な単位空間を試してみる。第二に、年数の経過に伴う財務諸表の数値の変化の傾向を単位空間に織り込んで、変化の傾向が同じ信号データは同じ業種であることを識別させることを試みる。あるいは、業種の識別だけにこだわらず、別の企業属性についての識別も試みてみたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の流行のため国内・海外の出張が規制されたためにセミナー等への参加が出来なかったこと、また、それに伴う旅費の支出がなかったために次年度使用額が発生した。22年度には、セミナー等に参加することによって情報収集と新たな知識の獲得に努めるとともに、データベースやワークステーションの機能を充実させて研究を加速したいと考えている。
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Research Products
(1 results)