2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K20759
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 宏 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (90292078)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 空間計量経済学 / スペクトルグラフ理論 / 空間自己相関 / モランのI / ギアリーのc / HPフィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,空間計量経済学に,スペクトル・グラフ理論[数学の一分野であるグラフ理論の中でもグラフ構造を反映する行列の固有値・固有ベクトルについて研究する学問分野]の知見を持ち込み,空間計量経済分析を発展させることをその目的とする。研究期間中に得られた研究成果を6編の研究論文として査読付き国際学術雑誌に発表した。そうした研究成果の内,特に重要なものは,空間トレンド・フィルタリングに関する研究成果である。この研究では,空間データから,ギアリーのc(異なる頂点間で観測される空間データの類似度を測る指標である空間自己相関指標の一つ)の意味で正の空間自己相関の高い成分を抽出するための新たなフィルターを提案し,その手法を使うことにより空間データから正の空間自己相関の高い成分をうまく抽出できる様子を示したほか,エルニーニョ現象やラーニャ現象の分析に使用できる様子を示した。加えて,関連する既存研究のサーベイを行い本研究とそれらとの差異を明確化した。研究成果をまとめた論文は空間統計学分野のトップジャーナルであるSpatial Statistics誌に査読ののち受理・掲載されたほか,3つの査読付き国際研究集会にて口頭報告された。その他,ギアリーのcがグラフ・ラプラシアンと呼ばれるグラフ構造を反映した行列の2次形式で表すことが出来ることに基づいた研究を行ったことも重要な研究成果である。また,空間データの一種とみなすことが出来る時系列データのフィルタリングに関する研究も行い成果を得た。
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