2022 Fiscal Year Research-status Report
計量経済学と心理統計学のコラボレーション:パネルVAR分析の視点から
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20K20760
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
早川 和彦 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (00508161)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | パネルデータ / VARモデル / 不均一性 / 階層モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,パネルデータを用いた(ベクトル)自己回帰モデルの推定について考察している。本年度は,クロスセクションごと異なる自己回帰係数と誤差分散を持つ(ベクトル)自己回帰モデルの新しい推定量を提案し,そのパフォーマンスを数値実験を行って調べた。 具体的には,まず,一変量の自己回帰モデルにおいて,平均グループ推定量のバイアス修正を考察した。バイアス修正にはいくつかの方法があるが,本研究では,使いやすさの観点から,ジャックナイフバイアス修正と、解析的バイアス修正の2つを提案した。 モンテカルロ実験を行ってこれらの推定量の性質を調べたところ,バイアスと推測の正確さに関して,非常に優れたパフォーマンスを持つことが分かった。また,代替的な推定量である,制限付き最尤推定量・ベイズ推定量とのパフォーマンスを比較したところ,本研究で提案した推定量は,ベイズ推定量と同じようなパフォーマンスを持つことが分かった。しかしながら,ベイズ推定は計算に非常に時間がかかるが,本研究で提案した平均グループ推定量は,線形推定量であるため,計算にほとんど時間がかからないという利点がある。 その後,一変量自己回帰モデルをベクトル自己回帰モデルに拡張し,バイアス修正平均グループ推定量を提案し,モンテカルロ実験を行ってその性質を調べた。その結果,1変量自己回帰モデルの場合と同様,バイアスと推測の正確さに関して,非常に優れたパフォーマンスを持つことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で,本研究課題で主に考察するモデルの推定量の理論的な考察と数値実験が終わっており,その結果を論文として取りまとめている段階であるため,順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られている理論的結果と数値実験の結果をまとめ,査読付き雑誌に投稿予定である。また,論文投稿後,時間的余裕があれば,本研究課題の拡張として,誤差項に相互作用効果を含む,拡張されたパネルVARモデルの考察も行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初参加を予定していた学会・研究会がオンラインで参加可能であったため、旅費に係る支出が一部不要になった。 翌年度は、学会・研究会に積極的に対面で参加する予定である。
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Research Products
(3 results)