2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing the information systems of healthcare support services for public assistance recipients
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20K20774
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 尚己 京都大学, 医学研究科, 教授 (20345705)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 健康の社会的決定要因 / 健康格差 / 生活保護 / 健康管理支援 / 機械学習 / マーケティング / 福祉事務所 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活困窮者は様々な健康課題を抱えていることが多く、その実態把握と支援法の開発が求められる。自治体が所有する生活保護受給者の住民基本データや医療扶助・介護扶助レセプトデータを用いて、1)生活保護受給者の社会関係や生活背景についての新たな詳細データを追加し、最適な支援プランを提示するアルゴリズムを開発する。また、2)支援プランの効果の有無、および効果に影響を及ぼす要因を明らかにする。
生活保護受給者は定期的に担当のケースワーカーと面談していることを利用して、標準化された妥当な心理社会的背景の評価尺度を用いて受給者個人の心理社会状況や生活歴のデータを収集する。これらの生活歴に関するデータを受給者の住民基本データや医療(介護)扶助レセプトデータと結合したデータの提供を受ける。受給者の健康状態や受診行動(頻回受診・重複受診・重複処方・受診抑制・救急車利用等)に関連する要因の分析をする。2020年度は標準調査票を開発して配布を開始した。14自治体が開発予定のシステム導入を予算化し、75自治体が参加予定となった。
これまでに収集されたデータをもとに、小児の慢性疾患や歯科疾患、成人の糖尿病発生や頻回受診に、孤立や慢性的な社会ストレスが関与している可能性が見いだされた。また、確率的潜在意味分析を用いて一般成人と高齢者の男女それぞれに、合理的な説明が可能な5つ程度の特徴的な受給者クラスターを導出し、特定のクラスターと頻回受診や健康アウトカムとの関連があることが明らかとなった。一部の成果を論文として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、標準質問票を開発して配布を始め、データの収集が始まった。一部のデータを使った分析結果を複数出版した。また開発するサービス利用を希望する複数の自治体を確保し、今後の分析・開発のめどがついた。新型コロナウイルスのまん延により予定していたデータ収集自治体のいくつかとの交渉が難航したが、他の自治体等で補填するなどして、おおむね予定通りのサンプル数を確保できる見込みがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにデータ収集と分析を進め、受給者の健康状態や受診行動(頻回受診・重複受診・重複処方・受診抑制・救急車利用等)に関連する要因のより精緻で頑健な分析をする。それらの結果をもとに支援プランの優先順位付けアルゴリズムを搭載した健康管理支援プラン導出システムを開発し、各福祉事務所に提供する。 新型コロナウイルス感染症の流行状況を勘案しつつ、協力事業者とともに、データ収集候補先のさらなる開拓を進める。分析においては、昨今の因果推論モデルに基づく機械学習技術の発展を受け、より妥当なアルゴリズムや分析アプローチを随時応用していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のまん延による関係者との会議や手続きが遅れ、一部のデータ整備や関連する論文出版が次年度へ持ち越しとなった。
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