2020 Fiscal Year Research-status Report
小学校の理科授業中45分間にチョウを羽化させる制御方法の検討
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20K20798
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
安藤 秀俊 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70432820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥寺 繁 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20625941)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | チョウ / 小学校理科 / 羽化制御 / フィールド調査 / 環境教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,小学校の理科の授業時間中にチョウの羽化現象を観察させ,感動のある生物観察を実現させる教材の開発(羽化制御法)が主たる目的であるが,チョウの多くは4月から9月にかけて羽化するため,新型コロナウイルスの影響で,初年度,研究を開始した時期が9月となり,残念ながら当初予定した実験の多くはできなかった。しかしながら,念のため既存の人工気象器で生育させておいたチャマダラセセリの幼虫を用いて予備的な実験を行うことはでき,チャマダラセセリの化性(Voltinism)に関する基礎的なデータを得ることはできた。チャマダラセセリの未羽化の個体は春に春型として羽化する個体と仮定し,飼育したが,日長時間が長くなるにつれ段階的に春型が減少した。また,夏型よりも白斑が多い中間型の個体が多く出現した。このことから,季節型を決定する要因はやはり日長時間であると推察できた。しかし,未羽化の蛹が54個体あり,更に日長条件を詳細に設定し実験を行う必要がある。この点に関しては,計画していた大型のインキュベーターは購入することができたので,令和3年度は本格的な実験を行い,授業中のチョウの羽化が可能な制御技術の確立を目指したい。 なお,本研究のもう一つの目的として,教育に利用可能なチョウの探索及びフィールド調査,また環境教育と絡めた保全生態学の観点からチョウの教育活用のあり方を検討することがあるが,これについても新型コロナウイルスの影響で実現できなかったが,予算でトレイルカメラなどを整備することができたことから,次年度はアポイ岳での天然記念物,種の保存法指定種であるヒメチャマダラセセリの観察など積極的に調査を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はチョウを材料としており,チョウの多くは基本的に4月から9月にかけて羽化するため,遅くとも7月には羽化制御実験を開始する必要があった。しかしながら,新型コロナウイルスの影響で,本研究費の交付内定が8月初旬,交付申請書の作成が9月初旬と遅れたため,モンキチョウを用いた羽化制御実験ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究費で大型インキュベーターを購入することができ,羽化制御実験の準備は整ったので,今年度はモンキチョウ,チャマダラセセリなどを用いて実験を行う。チョウの化性(Voltinism)や季節型(Seasonal Polyphenism)は,一般に温度と日長に依存するが,その詳細は明らかではない。そこで温度(20,25℃)と日長(短日:10L,14D~長日16L,8D)の条件を段階的に設定し,季節的表現多型を人為的に作出することを試みる。また,羽化制御法に適したチョウの種をフィールド調査により探索的に調査・選択するとともに,環境教育や保全生態学の観点からも,全国で激減し,絶滅に瀕しているチョウの現状を探察・把握し,アプローチ可能な教育的な教材として検討する。
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Causes of Carryover |
本研究は,チョウを対象としているが,本研究費の交付が9月以降であり,チョウの活動期である時期に調査ができず,また新型コロナウイルスの影響で,フィールド調査に一度も行くことができなかった。そのため,フィールド調査を行うための旅費を使途することができず,次年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)