2022 Fiscal Year Research-status Report

Music selection for hard of hearing children at music classes

Research Project

Project/Area Number	20K20811
Research Institution	Tsukuba University of Technology
Principal Investigator	平賀瑠美筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (70327021)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	白石優旗筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (00389214) 安啓一筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (70407352)
Project Period (FY)	2020-07-30 – 2024-03-31
Keywords	聴覚障害 / 音楽聴取 / 音色 / 音響
Outline of Annual Research Achievements	目的：我々の研究は様々な聴取特性を持つ聴覚障害者各人が聴いて楽しめる音楽を聴覚障害者に提案し、そこで得た知見を音楽の授業に活かすことを目的とする。方法：そのために、聴覚障害者を対象とした音楽データの聴きやすさの主観評価実験を行う。それと同時に、主観評価実験で用いる音楽データの音響特性を分析、音色に関して分類し、聴覚障害者にとって聴きやすさに影響のある音響属性を調べる。聴覚障害者の音聴取は非常に個人差が大きいため、オージオグラム（個人の聴こえ）との関連も調べる。 2022年度の内容：2021年度に作成した19の楽器を異なる音高で聴いて、聴きやすさと嗜好を調べる実験を実施するため実験環境を用いてオンライン実験を実施し、データ分析を行った。研究成果：コロナウイルス感染拡大の状況下で、実験参加者がなるべく安心して実験に取り組めるように、オンラインで参加できるような実験環境を用いた。実験参加者は普段音楽を聴く環境での聴きとりを行うことになるが、各参加者に3回異なる日に実験に参加するように依頼した。オンライン実験中、簡易的聴力検査も行い、体調による聴力の変化と収集データに関連があるかどうかも確認した。実験には聴力や使用する補聴機器が異なる36名が参加した。実験結果を用いて、何が聴きやすいのかについて主観評価の分析、主観評価と音響分析の関連の分析を行った。特定の楽器音の聴きにくさが見いだされ、その音響特徴量についての考察を行った。これらについては、アクセシビリティ関連の国際会議に投稿中である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 2022年度はコロナ感染拡大の収束が見られないため、Gorilla.scを用いて構築したオンライン実験環境用いて、音色の聴取と主観評価に関する実験を実施した。オンライン実験では、簡易的な聴力検査の後、19 の楽器音を聴いて聴きやすさと好き嫌いを主観的に判断した。１つの楽器音の長さは500ms程度であるが、それぞれ５つの音高を準備したので、全部で95の音色を聴いた。オンライン実験では、実験実施において人的接触が不要で、参加者は好きな時間に都合の良い場所で参加することができる。参加者が普段使用している機器（スピーカやヘッドフォン）を用いるため、日常の聴取に近い状況での評価を得ることができる。聴取実験をオンラインで実施することについては、聴取機器が揃っていない、良い環境での聴こえとは限らない、という欠点が考えられるが、普段の生活での聴きやすさを重視した。参加者の実験理解と各参加者の音色の嗜好傾向については、簡易的聴力検査から始まる95音の聴取と主観評価実験を日を変えて3回参加するように指示したことにより、聴取の傾向を知ることができたと考えている。音楽データの音響分析は、Matlabと音響分析のためのツールMIRToolboxを使用した。主観評価の聴きやすさの結果を考慮して、いくつかの音響特長量の関係があると考えることができた。その内容については、国際会議に投稿中である。楽器音から発展させて歌唱についても同様の調査ができるかどうかを考えるために、歌唱の専門家に話を伺った。 2022年度は36名の参加者による実験を実施し、国際会議に投稿する内容を得ることができたため、概ね順調であると考える
Strategy for Future Research Activity	申請当初、本研究は３年で終了する予定であったが、コロナ禍による人的接触の制限がある時期と重なっていたため、実験の方法をオンラインにすることにより、結果を得ることができた。2023年度は得られた結果を2件、国際会議で発表する予定である。また、簡易的聴力検査は、オージオグラムを作成することはできるが、それはあくまでも相対的な聴力であり、実際の聴力検査の結果と少なくともオージオグラムとして似た形になるのか、についての検証を行う予定である。
Causes of Carryover	2022年度はコロナ禍の影響で海外での発表や海外での研究交流を自由に行うのはまだ難しく、大きな金額となる海外での研究発表ができなかったため、次年度使用額が発生した。