2022 Fiscal Year Annual Research Report
Emergence of curriculum research based on learning cycle
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20K20818
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
木村 優 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (40589313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下郡 啓夫 函館工業高等専門学校, 一般系, 教授 (00636392)
三河内 彰子 明治学院大学, 文学部, 研究員 (20838453)
一柳 智紀 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30612874)
坂本 篤史 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (30632137)
花井 渉 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (60783107)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 学びのサイクル / カリキュラム / エージェンシー / 対話するカリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、学びのサイクルの解明を研究主題に掲げてきた2つの学校:福井大学教育学部附属義務教育学校・新潟大学教育学部附属中学校を研究協力校としてアクション・リサーチを実施し、学びのサイクルに準拠したカリキュラムデザインの理論枠組みを導出することを目的とした。最終年度にはまず、両校が目指す子どもの能力育成の指標としてエージェンシーを措定し、その理論的検討を行った。自らの行動を駆動することで自分自身と社会に影響を与える人間の能力であるエージェンシーは、社会構造の変革に向けた人間の意識的で意図的な行為であり、さらに自然の仕組みとも相互作用することが明らかになった。すなわち、エージェンシーは社会・自然の構造、それぞれが相互に関わり合うエコシステム(生態系)と切っても切り離せない関係にある。また、エージェンシーの機能の心理学的考察から、エージェンシーの構成要素としての人間の資質能力として、目的意識、成長マインドセット、希望、動機づけ、自己効力感、所属感等が抽出された。これを踏まえエージェンシー尺度を開発し、その実施から子どもたちが学びのサイクルをとして育む、成長マインドセット、希望、アイデンティティ、動機づけ、目的意識、自己効力感、所属感の能力の伸長を捉えた。また、学びのサイクルに準拠したカリキュラムデザインの認識から、教師たちは多層に広がるカリキュラムの主体(マルチ・ステークホルダー・エージェンシー)に対し、学びのサイクルに準拠した「実践され経験されるカリキュラム」の価値を伝える「対話するカリキュラム」を創出していた。以上の成果を踏まえ、教師たちが主体的に子どもたちの学びと育ちを最大限に支え促し、変化し続ける民主主義社会の発展に貢献していくエージェンシーの発揮と育ちに寄与する学びのサイクルに準拠したカリキュラムデザインの理論枠組みを創発するに至った。
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Research Products
(2 results)