2021 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における新たな高等学校像―地方創生の基盤としての人材育成―
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20K20822
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南部 初世 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (40263058)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 人口減少社会 / 高等学校 / 地方創生 / 人材育成 / 日独比較分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中等教育段階における多様な生徒の学びを保障する理念・制度・実態について日独比較分析を行い、複数の高等学校を維持することが困難な地域において、地方創生の基盤としての人材育成を行う高校の在り方を模索することを目的としている。2021年度は、【研究課題(1)】日独制度基盤要件分析(①ドイツ全州の学校制度改革について、その背景・経緯、新たな学校種の特徴、それに対する評価を整理・分析する。②日本における2000年代以降の高校の多種類化・特色化、高校生が急減する中での高校の再編・統合について整理・分析する)における②を進めた。研究内容は以下の2つに整理できる。 第一は、「高等学校の特色化・魅力化」策として進められている今次高校教育改革の背景に存在する政治的「文脈」の分析である。「地方創生」が喧伝される中での高校改革であることから、政府も最重要課題の一つとして位置づけ、官邸主導で政策の骨子が形作られており、それを基盤としつつ文部科学省は、審議会等を活用し、ステイクホルダーの声を反映して政策形成を行っている。こうしたプロセスを分析し、現段階における今次改革の持つ意味について読み解いた。 第二は、今次高校教育改革の内容と今後の地域社会に与える影響についての分析である。地域の実態に応じた多様な高校教育、各高校の存在意義・社会的役割等の明確化、各高校の入口から出口までの教育活動の指針の策定、地域社会や高等教育機関等の関係機関と連携・協働した学び等の論点を整理し、これらを実現するための条件整備の在り方について、長野県と京都府を事例として取り上げ、考察を行った。 研究成果は、論文の他、日本教育制度学会大会課題別セッション「『新しい時代の高等学校教育』の展望と課題」、関西教育行政学会大会シンポジウム「人口減少時代における高等学校制度の在り方と教育行政の果たす役割」の企画・運営という形で公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【研究課題(2)】ドイツにおける制度実態分析(ドイツで2分岐型学校制度を導入した州及び統合型総合制学校制度を有する州において、「より長く共通の教育課程で学ぶ」理念とそのための具体的な措置、学力差のある生徒に授業を行うための教員の特別研修プログラムの分析を行い、実際の授業における活用と成果について明らかにする)の事前調査及び本調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、3つの研究課題から構成される日独比較研究であるが、研究を進める手順を変更し、まずは日本研究を進める。ドイツ研究(【研究課題(2)】のドイツにおける制度実態分析)については、コンタクトパートナーと密に連携しつつ、外国調査実施可能性を追求する。
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Causes of Carryover |
本研究は、3つの研究課題から構成される日独比較研究であるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していたドイツ事前調査(5日)、本調査(7日)が実施できなかった。また、国内調査についても、受け入れ自治体の都合により、北海道調査を1回実施するにとどまった(東京調査、京都調査、長野調査各2回、北海道調査1回が未実施)。コンタクトパートナーと連携し、外国調査実施可能性を追求するとともに、国内調査については、自治体への調査日程調整を再度行い、調査を実施する。
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