2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K20833
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
影山 和也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60432283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上ヶ谷 友佑 広島大学, 附属福山中学校, 教諭 (80813071)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 計算論的思考 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コネクテッド教室(インターネットの常時接続によって、ウェブアプリの使用やオンラインでの交流などが可能な教室)において、教育に関わる伝統的信念の転換を生徒の視座から進めるためのエビデンスを収集することを目的としている。そのために令和4年度は、前年度までに実施された高等学校数学科授業の分析を進め、学生たちの学びの実態を捉えることを目標とした。 分析の対象とした授業は、数学に関わる計算や検索が可能な、AIベースのウェブアプリの使用を前提とした短期の取り組みと(対数の性質を発見的に捉えることを主とするもの)、三カ年にわたる長期の取り組み(ICTの利活用によって、活動が教室に留まらない授業の可能性の追求を主とするもの)である。 短期の取り組みからは、ウェブアプリによって可能になった実験や検索を通して、伝統的カリキュラムとは異なる数学的事実との新たな出会いが起きていること、そして生徒自身が驚きや自信、喜びといった感情を持ちながら主体的に活動していることが窺われた。長期の取り組みからは、周りのリソースを編集したり補足したりすることで新たな知識体系をつくりだしたり、記憶すべき事柄に適当なラベルをはったり、他者の考察の道筋を共有して相互評価したりというように、コネクテッド教室に実装されたICTと共にある学びの仕方が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計算論的思考と数学的思考との互恵的関係の理解、ICTを伴う授業の分析、AIベースのウェブアプリを通じた戦略的ゲーム環境のデザインというように、理論検討および実践検討の一部は完了している。しかしながら、当初より想定していたウェブアプリ(合成関数を主とする戦略的ゲーム環境)の開発と実装、実践に予期しない遅れが生じたため、学生の実用的な思考形態を捉えようとする取り組みに遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに行った分析の結果からは有望な知見が得られており、それらを研究成果として公表する予定であり、そのための準備は進められている。また、すでに第三者によるアプリ開発の依頼は行っており、テストプレイを経ながら実装を試みる。このことと並行して,数の柔軟な演算処理を主題としつつゲーム性をもたせた学習環境の検討を進めており,アプリ開発につながるよう着実に進める。
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Causes of Carryover |
研究計画の一つであった、戦略的ゲーム環境下の生徒の活動分析を進めるために、第三者に対してウェブアプリの開発を令和3年度より依頼していた。しかしながら、納入からテストプレイ、修正改善に想定以上の時間を要しているため、ここにかかる取り組み費用を計上した。加えて、活動の詳細を記録するためのツール等の準備も、開発されたアプリとあわせて進めることを考えており、そのための費用も続けて計上した。
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Research Products
(2 results)